UI/UXデザイナーはITサービスを提供する上で欠かすことができない職種として注目を集めています。
「UI/UXデザイナーになりたい。しかし、どうやったらなることができるのだろう?」と考えている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、Webデザイナーになるために必要なスキル、転職や独立方法について解説します。
UI/UXデザインとは
そもそもUI/UXという概念
一般的には「UI/UX」と表記されますが、実は、UIとUXはそれぞれ別の意味の言葉です。
UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称です。インターフェースとは英語で「境界面、接点」という意味です。このため、UIとは「ヒトとモノをつなぐ窓口」と捉えるとイメージしやすいと思います。
UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称です。エクスペリエンスは英語で「体験」という意味です。このためUXとは「人がモノやサービスを通じて得られる体験や経験」を表します。
UIやUXは業界ごとにより、表される意味が異なります。
製造業におけるUIは「商品のデザイン」、そして、UXは「商品を利用することで得られる体験」が当てまはります。洋服を例にUIやUXを表すと、襟のカットなどのデザインや色が「ユーザーインターフェーす(UI)」に、着心地や肌触りなどが「ユーザー体験(UX)」に該当します。
また、小売業では、顧客から見える店舗ディスプレイ、商品の品揃えや陳列方法などが「ユーザーインターフェース(UI)」、居心地や接客などの店舗内での体験が「ユーザー体験(UX)」に該当します。ショッピング中に、「フラッと立ち寄ったお店の雰囲気がよかった」、「このお店の品揃えがよい」と感じた体験はありませんか?これが「ユーザ体験(UX)」です。また、「おしゃれなデザインのショールーム」や「可愛いデザインのPOP」などが「ユーザーインターフェース(UI)」に該当します。
UIやUXはオフィスビルでも重要です。オフィスビルにおける「ユーザーインターフェース(UI)」は、内装や外装が該当します。また、「ユーザー体験(UX)」は、オフィス内の空間や居心地、快適さなどが該当します。UIやUXは仕事の生産性にもつながるため重要です。
このように、UIやUXは業界ごとに異なります。しかし、UIやUXはどの業界においても私たちの生活や購買活動において重要な要素となっています。
WebにおけるUIUXとは
WebにおけるUI(ユーザーインターフェース)とは、人間が視覚で見えるコンピューターとの「接点」を表します。具体的には、「画面」、「ボタンや入力欄の配置」、「色」、「画像や写真」、「フォント」などがあります。
また、WebにおけるUX(ユーザー体験)とは、Webを通じて得られた体験です。「画面の印象」、「機能の充実度」、「操作性」、「サービスの満足度」などです。
Webの場合、訪問回数や滞在時間がサービスの売上や収入に大きく影響します。そして、Web サイトからの離脱の要因には、「Webの第一印象が良くない」、「使い勝手が良くない」などがあります。このため、Webサイドにおいて、UIやUXは非常に重要な要素となっています。
UIUXデザインとWebデザインの違いは?
ユーザーインターフェースを設計するUIデザインですが、Webデザインと内容が似ていると思っている人も多いのではないでしょうか?UIデザインとWebデザインの違いはどこにあるのでしょうか?また、UXデザインとはどこが違うのでしょうか?
WebデザインとUIデザインの違いは、Webデザインが「デザイン性やクリエイティブ性に重きを置いている」のに対し、UIデザインが「ユーザーにとって快適な画面操作や機能設計を行う」ことに視点を置いている点です。もちろん、Webデザインにおいても、ユーザーにとっての使い勝手を考慮していない訳ではありません。しかし、UIデザインはユーザーの使い勝手を第一に考えてデザインするという点において、Webデザインとの違いがあります。一方、UXデザインは「ストレスなく必要な情報にたどり着く、あるいは必要な機能を利用できる体験をデザインする」ことに重きを置いています。
ECサイトを用いて具体例を示します。ECサイトで買い物をしようとするとき、商品説明の文字が見やすいとしたらどうでしょうか?また、買い物をしようするとき、欲しい商品までの導線が分かりやすいとしたらどうでしょうか?このように、ECサイトを通じて快適な体験を得られるように考え、戦略的にデザインを行うことをUIデザインやUXデザインといいます。
UI/UXデザイナーに必要なスキル
UIデザイナーに必要なスキル
UIデザイナーになるために必要な資格は特にありません。しかし、UIデザイナーとして活躍するためには、いくつか必要なスキルがあります。
「デジタルソフトウェア」のスキル
Adobe IllustratorやAdobe PhotoshopはWebデザインの現場でもよく用いられるソフトウェアです。それは、UIデザインでも同様です。このため、Illustratorクリエイター能力認定試験やPhotoshopクリエイター能力検定試験といったAdobe公認の資格を取得することで、そのスキルを証明することができます。
「ユーザー目線で俯瞰する」スキル
UIデザイナーはユーザーが使いやすいユーザーインターフェースを設計するのが仕事です。このため、「ユーザーがどのように使い、どのような機能を配置すれば使いやすいか?」をユーザー視点で考える必要があります。時にはUIデザイナーはインタビューや、自ら操作して使いやすさを確認することが求められます。このため、ユーザー目線で俯瞰するスキルが求められます。
「プログラミングスキル」
UIデザイナーは、機能を実装するフロントエンドやバックエンドとのエンジニアとのコミュニケーションが多く発生します。このため、フロントエンドで使用するHTML/CSSやJavaScript、バックエンドで使用するJavaやPythonのプログラミングスキルを持つことで、エンジニアとのスムーズなコミュニケーションを行うことができます。
UXデザイナーに必要なスキル
UXデザイナーも同様になるために必要な資格は特にありません。しかし、UXデザイナーとして活躍するためには、いくつか必要なスキルがあります。
「ユーザーの要求を理解する」スキル
UXデザイナーは「ユーザー体験をデザインする」のが仕事です。また、「ユーザーはどのように感じるか?」、「ユーザーはどのように反応するのか?」など、UXデザイナーは、時には「ユーザーの代弁者」となることが求められます。このため、ユーザーの要求を理解し、「分かりやすさ」や「使いやすさ」を追求することが必要です。時にはアンケートやインタビューを行い、ユーザーの声を直接聞くこともUXデザイナーには求められます。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは、物事を論理的、構造的に思考し、妥当性も含めて判断する思考法です。ユーザーのフィードバックを集め、不満を課題として捉え、解決策を提案します。クリティカルシンキングを行うことで、「円滑なコミュニケーションが取れるようになる」、「数値データから的確な判断ができるようになる」などのメリットがあります。UXデザインには「仮説を立てて検証する」ことも求められます。この時、特定の思い込みを排除する思考であるクリティカルシンキングは仮説検証に役に立ちます。
UI/UXデザイナーの年収
ここでは、UI/UXデザイナーの年収について解説します。
全国の正社員・アルバイト・パート・派遣社員の仕事・転職・採用情報をまとめたサイト「求人ボックス」によると、UIデザイナーの正社員の平均年収は552万円です。なお、これは日本の平均年収に比較すると高い傾向にあります。
ボリュームゾーンとなっているのが500万円から600万円となっています。また、レンジも200万円台から900万円台と幅広く、スキルによって年収か変わるものとみられます。
(「求人ボックス 給料ナビ」より)
一方、UXデザイナーの平均年収は575万円です。UIデザイナーに比べて20万円ほど高くなっています。ただ、ボリュームゾーンは450万円から550万円となっています。このため、平均年収よりも低い水準となっています。年収は300万円台から900万円台と幅広くなっています。このため、勤務先やスキルによって差があると考えられます。
(「求人ボックス 給料ナビ」より)
年代別データは「賃金構造基本統計調査」からの引用となっています。UI/UXとも同じデータとなっています。年代別で見ると、50〜54歳が一番高くなっています。一方、20〜24歳が一番低くなっています。とはいえ、40代までは平均年収が上昇しています。これは年齢が上昇するとともにスキルもアップし、それに伴い年収がアップしているものと推測されます。
(「求人ボックス 給料ナビ」より)
UI/UXデザイナーとして年収を上げるために必要な副次的な知識・スキル
では、年収を上げるためにはどのような副次的な知識やスキルが必要なのでしょうか?ここでは、2つ紹介します。
マーケティングやSEOの知識や経験
1つめはマーケティングスキルです。「ターゲットとなるユーザーはWebサイトでどのような行動を行うのか?」など、Webサイトでの行動パターンやアクセス数などを分析する力が求められます。そして、ユーザーの行動パターンやキーワードから、SEOをはじめとした情報をどのように発信するかを検討します。
マーケティングが進化し、「顧客」の視点が重視されるようになりました。また、サービスとして提供される以上、収益を上げる必要があります。このため、サービスの上流設計を担うUXデザイナーは、顧客の流れやお金の流れを考慮する必要があります。このため、顧客の動向やニーズを分析するマーケティングスキルが必要とされる理由です。
また、SEOの知識や実務経験、Google AnalyticsなどのWeb解析ツールのスキルも必要です。Webサービスの多くは検索エンジン経由、もしくは広告で流入します。このため、上位に検索されるためのSEOの知識、そして、Web上でユーザーがどのような行動を行なっているのかをWeb解析ツールで解析し、導線設計に役立てる必要があります。
コンテンツマーケティングにおいて、再度訪問してもらうためには「役に立った」という体験が必要です。とはいえ、必要とされる情報は、年代、性別、職業、役職などによって異なります。このため、ターゲットを絞り、ターゲットとなる人に必要な情報を発信する必要があります。ここで必要となるのが「ペルソナの作成」です。ペルソナとは、想定となる架空の人物を作り上げることです。架空となる人物を作り上げることで、「ユーザーがどのように考えるのか?」などを具体的に想定することができます。UI/UXデザインではペルソナを作成することで、ユーザー体験を効果的に高めることができます。
ユーザーインタビューやブランド戦略の経験
2つめはユーザーインタビューやブランド戦略の経験です。
ユーザーインタビューを行う目的は、「サービスのニーズを探る」、「改善のアイデアをえる」などです。Webサービスの世界には、多くの競合がひしめいています。顧客に選ばれるサービスを提供するには、顧客の声を聞くのが一番です。このため、UI/UXデザイナーには、ユーザーインタビューの目的や質問の設定など、ユーザーの声を確認するためのスキルが求められます。
そして、もう1つ必要なのはブランド戦略。サービスの提供において、ブランドイメージは重要です。なぜなら、顧客はよく分からないサービスにはお金を出しません。このため、ユーザー体験を設計するUXデザイナーには、ブランド戦略の検討段階から参画を求められることが一般的です。とはいえ、ブランド戦略の検討段階から参画しているUI/UXデザイナーは多くはいません。そのためブランド戦略の経験があるUI/UXデザイナーは高い市場価値があります。
「なぜこのサービスを使っているのか?」、「もっと便利になるには、どんな機能が必要か?」といった質問に対して、すぐ答えられる回答者はどのくらいいるでしょうか?恐らく、多くの回答者はすぐには答えられないでしょう。このように、回答者は、ユーザーインタビューでもインタビュアーの質問には明確な答えが返ってこないことが多いのです。このため、ユーザーインタビューには、回答者の回答内容から、回答者自身が気づいていないユーザーニーズを理解する必要があります。
とはいえ、回答者自身が気づいていないユーザーニーズを回答者の回答から理解するのは非常に困難です。このため、ストーリーを読み解き、答えを引き出すことができる経験が求められます。
UI/UXデザイナーへの独立・転職方法は?
独立・転職の方法
では、UI/UXデザイナーになるためにはどうすればよいのでしょうか?まずはUI/UXデザイナーとして転職することをおすすめします。未経験であっても、今までの経験を活かして転職することは可能です。
例えば、UXデザイナーには、課題の本質を捉え、分析や改善案を提示することが求められます。このため、コンサルティングなどの経験を活かしてUXデザイナーに転職した例もあります。
また、マーケティング経験を活かして転職した例もあります。先述の通り、UI/UXデザイナーにはマーケティング知識があった方が有利に働きます。特にUXデザイナーにはサービスの上流工程での設計を担当するので、マーケティング経験やSEO経験は有効です。
とはいえ「マーケティングの経験がない」という方もいるのではないでしょうか?
その場合はスクールでマーケティングについて学ぶことをおすすめします。
そして、UI/UXデザイナーとして経験を積んだあとに独立するのがよいでしょう。独立後、UI/UXデザイナーとして仕事を獲得するためには、企業に評価してもらうための実績が必要です。実績を積み上げ、ポートフォリオとして掲載しましょう。特にUI/UXデザイナーとして、上流工程での経験をポートフォリオに掲載すれば、独立後も案件獲得に有利に働きます。
Webデザインを本格的に学べるスクールに通うのもあり!
では、先述したコンサルティング経験やマーケティング経験がない場合、UI/UXデザイナーになるためにはどうすればよいでしょうか?Webデザインを本格的に学べるスクールに通ってスキルを身につける方法もあります。例えば、スクールによってはUI/UXデザインコースを設けているスクールもあります。UI/UXデザインコースでは、「UX/UXの設計」はもちろん、オリジナルアプリの企画、設計、デザイン」を学ぶことができます。そして、企画、設計、デザインしたオリジナルアプリは、自分のポートフォリオに掲載することが可能です。このようなスクールに通い、UI/UXデザイン技術を身につけてポートフォリオに掲載し、UI/UXデザイナーとして転職しましょう。
Webデザインを学ぶおすすめのスクール
TechAcademy(テックアカデミー)
TechAcademy(テックアカデミー)にはWebデザインからWebマーケティングまでしっかりと学べるコースが揃っています。
セットで学ぶと割引などの特典もあるのでWebデザイン関係を学びたい人にはとてもおすすめです。
CodeShip
キャリアサポートも充実しているため、転職率96%。
転職活動も安心ですね。
Akros Academy
完全マンツーマンのレッスンのため「人前で質問するのが苦手」という方におすすめ。
デジタルハリウッド
オンラインレッスンのため、いつでもどこでも受講可能。
未経験でも安心して受講できる体制が整っています。
Code Camp
受講生の満足度が94.6%と高い点が魅力的。
多くの受講生がスキルを身につけ、転職や独立起業などしているので自分のキャリアも想像しやすいですね。
.Pro
少人数クラスでのレッスンで実践的な内容を学ぶことができます。
現役エンジニアから直接指導も受けられるので現場で即戦力が目指せます。
techmeets
24時間チャット対応なので、気になった点はいつでも質問できる安心感があります。
オンライン受講なので、居住地や生活スタイルに関係なく学ぶことができますね。
まとめ UI/UXデザイナーとしてのスキルを高めて市場価値を上げよう
UI/UXデザイナーはWebサービスを提供する上で欠かすことのできない職種です。しかし、その仕事内容な単にWebデザインができればよいというものではなく、「価値のあるサービスを提供し、ユーザーの満足度を高めるためにはどうすればよいのか?」という追求が必要です。このため、マーケティング、SEO知識、課題を捉える力と解決能力、ユーザーインタビューといったスキルが求められます。
とはいえ、マーケティング、SEO知識、課題を捉える力と解決能力、ユーザーインタビューといったスキルを持つUI/UXデザイナーは多くはいません。このため、このようなUI/UXデザイナーは高い市場価値を持っています。
ぜひ、高い市場価値を持つUI/UXデザイナーを目指していきましょう。