当記事では、確定申告のふるさと納税について解説します。
ふるさと納税は、本来は寄付金控除といって確定申告で納税金額を申告することで、その金額に応じて所得控除が受けられる制度です。
要するに納めるべき所得税が減らせます。
とはいえ、ふるさと納税を使っていても特に所得控除を受けたいと思わない限り「確定申告しなくてもいいんじゃないの?」と考えている方もいるはず。
そこで、ふるさと納税をしていて確定申告が必要な人・確定申告方法および申告の時期もお伝えするので、ふるさと納税を利用している方はぜひご覧ください。
ふるさと納税を利用していて確定申告が必要な人とは?
ふるさと納税を利用していて、確定申告が必要な人は、以下の条件に1つでも当てはまる方です。
- 確定申告対象年の1月1日~12月31日の間にふるさと納税として寄付金した自治体が6つ以上ある場合
- 寄付した自治体でワンストップ特例申請書を提出し忘れ方・なんらかの理由で申請書の提出ができなかった方
つまり、寄付金額に関わらず1自治体でもふるさと納税を行なうと、確定申告の対象者になりうることになります。
2022年2月16日~3月15日の確定申告では、2021年1月1日~12月31日までに利用したふるさと納税があった場合は対象となります。
ふるさと納税の確定申告はいつまで?
ふるさと納税の確定申告は、基本的に納税した翌年の確定申告で行ないます。
しかし、ふるさと納税が所得控除になると分からなかったなどなんらかの事情で確定申告していなかった場合、過去5年までさかのぼって確定申告できます。
とはいえ、過去5年分となるとすでに該当年の所得税は支払われているため、該当年の所得税からふるさと納税による所得控除はできません。
このような場合は、控除されるべき金額が現金として還付されることになっています。
還付とは、支払いすぎた税金が戻ってくることで、必ず還付申請が必要です。
放置していても申告しない限り税金は帰ってこない点には気を付けましょう。
つまり、過去5年分のふるさと納税による所得控除額が還付金として戻ってくることになります。
還付金や還付申告については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
また、給与所得を得ている会社員か個人事業主かによって、ふるさと納税の所得控除申請を行なわなかった場合の還付金の受取り方は違う点にも注意しておきたいですね。
個人事業主 | 前年度分のふるさと納税による所得控除は翌年に行われる確定申告の所得税から引かれる。前年度以前の4年間分でふるさと納税の所得控除が適用されていない場合は、還付金として手元に税金が戻ってくる(現金振込される)。 |
給与所得などがある会社員やアルバイトなど | すでに年末調整で所得税は支払われているため、過去5年間分すべて還付申告することでふるさと納税による控除金額が全額戻ってくる(現金振込される)。 |
ご自身の働き方で確定申告のタイミングを見分けてください。
ふるさと納税の確定申告のやり方・どこに書く?
ふるさと納税で所得控除を受けたり、還付金を受け取ったりするには、必要事項を記入した確定申告書類を提出する必要があります。
ここでは、ふるさと納税の確定申告のやり方や申告書類の書き方および書くべき項目について解説するので、これからふるさと納税で確定申告したいと考えている方はぜひご覧ください!
① ふるさと納税(寄付金控除)に必要な書類を用意する
ふるさと納税で所得控除を受ける「寄付金控除」を利用する場合には、確定申告書類を作成する前に以下の書類が必要です。
- マイナンバーカードもしくは相応する身分証明書類
- 確定申告書および収支内訳書もしくは青色申告決算書
- 寄附金受領証明書
- 寄付金控除を受けたい該当年の源泉徴収票
- 還付金を受け取る口座番号
マイナンバーは確定申告書類を提出するときに、身分証明書として税務署に提示します。
また、寄付金控除証明書は、ふるさと納税を利用した際に納税自治体から発行されるものです。
万が一紛失しているなら、早めに再発行の手続きを進めておきましょう。
ふるさと納税を行なった自治体で再発行してもらえます。
確定申告書および収支内訳書や青色申告決算書は、税務署および国税庁公式WEBサイトで手に入りますが、e-Tax(電子申請システム)を利用する場合は特に用紙は必要ありません。
給与所得を受け取っている方は確定申告書と収支内訳書が必要ですが、個人事業主などで青色申告承認書を提出している方は確定申告書と青色決算報告書が必要です。
② 確定申告の書類を作成す
確定申告書類には、主に「収入金額等」「所得金額」「所得から差し引かれる金額」の項目に必要事項を記入していきます。
寄付金控除証明書や源泉徴収票などを見ながら、以下の項目をめていきましょう!
<所得給与を受け取っている方>
- 確定申告第一表のAに源泉徴収票を見ながら、収入金額・所得金額を記入します。
- 「所得から差し引かれる金額」にある19番の寄付金控除の項目にふるさと納税で控除されるべき金額を記入します。
- 寄付金控除のほかに年末調整では利用できない初年度の住宅ローン控除(住宅借入等特別控除)・医療費控除・セルフメディケーション税制・雑損控除なども記入します。
- 第二表左ページの右下にある「還付金を受け取る口座番号」も間違いなく記入します。
こちらで大まかな記入は終わりです。
※年末調整で利用できないけど確定申告で還付申請できる各控除については、以下の記事で解説しているのでぜひご覧ください。
<個人事業主の方>
- 確定申告第二表の収入・所得欄を事業所得などに基づいて記入する。
- 「所得から差し引かれる金額」項目の19番寄付金控除にふるさと納税による控除金額を記入する。
- ふるさと納税した年が4年前以前だった場合は「還付金を受け取る口座番号」を記入する。
前年度のふるさと納税の所得控除を受ける場合は、所得金額から差し引いて計算した金額を申告書類に記入する。
上記の流れで、ふるさと納税に関する確定申告書類は完成です。
③ 確定申告書を提出する
確定申告書類が完成したら、確定申告の期間中に税務署に申告書類を提出します。
期間は、毎年2月16日~3月15日なので忘れずに提出しましょう。
また、個人事業主の方で納税する所得税がある場合は、期間内に必ず納税してください。
もしも支払わないでそのままにしていると、滞納税が発生するリスクがあるからです。
滞納税については以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
④ 利用した控えなどは最低でも5年保管する
確定申告で利用した書類は、必ず最低5年間は保管する義務があります。
確定申告書の控えはもちろん、申告書類を記載する際に必要だった寄付金受領証明書や源泉徴収票などは捨てずに保管しておきましょう。
めったにないですが、税務署により税務調査が入る可能性があるからです。
税務調査を行う際に確定申告で利用した書類を提示することになっています。
万が一書類がないとなると不正認定される可能性もあるため、確定申告してから5年はとっておいてくださいね。
ふるさと納税の確定申告の提出先~ネット・税務署~
ふるさと納税の所得控除を受けて確定申告するとき、「いったいどこに申告書類を提出するの?」と疑問を感じていませんか。
確定申告は、基本的に前年度分の所得から所得税を計算し、税務署に報告および納税するものです。
ふるさと納税の所得控除を受けて受けなくても、確定申告書類は必ず税務署に提出します。
とはいえ、提出方法はe-Taxでオンライン提出するか、もしくはご自身で所轄の税務署まで出向いて提出する方法があります。
ここでは、それぞれ確定申告の提出方法のやり方やメリット・デメリットをお伝えするので、申告書類の提出方法がわからない方はぜひ参考にしてください。
スマホでネット提出するならe-Taxを利用する
e-Taxは、電子申告システムといって国税庁が公表している専用ソフトを使って確定申告書類を提出し、そのまま税務署へオンライン上で申告書類を提出できる方法です。
パソコンだけでなくスマホでも画定申告書類が提出できるので、必要書類さえあればどこにいても好きな時に確定申告ができます。
メリット | デメリット |
24時間いつでもどこでも確定申告書類おを作成して提出できるe-Taxで青色申告書類を提出すると最大65万円の所得控除が受けられる | 提出にはマイナンバーカードが必要マイナンバーカードがない場合には所轄の税務署で提出番号を発行してもらう必要がある |
所轄の税務署にも提出できる
e-Taxを利用しない場合、所轄の税務署に出向き書類を提出します。
以下で、税務署で提出するメリット・デメリットをみてみましょう。
メリット | デメリット |
税務署の職員が申告書類をチェックしてくれることがある | 混雑していて長時間待たされることがある特別な所得控除はない |
所得控除の面や書類の作成場所および提出時間などを考えても、e-Taxはお得で利用しやすい提出方法といえます。
ふるさと納税の確定申告でよくある疑問
ここでは、ふるさと納税の確定申告でよく感じられる疑問の回答を解説します。
悩みを解消して、ふるさと納税の確定申告を行なって下さい。
よく聞く「ワンストップ」って何?
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税を行なったときに申請しておくもので、ふるさと納税による所得控除分が住民税から差し引かれる制度です。
つまり、20,000円分の寄付金控除があった場合にワンストップ特例制度の申請を行なうと、翌年の住民税から20,000円が差し引かれます。
また、ワンストップ特例制度を利用すると、翌年の住民税から自動的に差し引いてくれるので納税者は特に行なうこともありません。
とはいえ、ワンストップ特例制度を利用していると、翌年の確定申告で寄付金控除が受けられず所得控除されない点に注意しましょう。
ワンストップで確定申告したらどうなる?
ワンストップ特例制度を利用している場合、確定申告の寄付金控除で所得控除は受けられません。
ワンストップ特例制度は、寄付金控除額を住民税から差し引く制度であることを覚えておきましょう。
寄付金受領証をなくした!
自治体にふるさと納税したことを証明する「寄付金受領証」は、ワンストップ特例制度を利用したり、確定申告で寄付金控除を利用する際に必ず必要です。
そのため、寄付金受領証を紛失したら、納税した自治体に問い合わせ再発行してもらいましょう。
いつからふるさと納税で控除される?
ふるさと納税の寄付金控除やワンストップ特例制度は、ふるさと納税を行なった翌年に納めるべき所得税や住民税に適用されます。
つまり、2021年にふるさと納税を行なった場合は、2022年の確定申告では所得が控除され、ワンストップ特例制度を申請したなら住民税から控除されます。
とはいえ、必ずワンストップ特例の申請や確定申告が必要な点には気を付けましょう。
ふるさと納税の返礼品が50万円以上だった場合は所得税はかかる?
ふるさと納税の返礼品が50万円以上だった場合は、所得税が発生します。
例えば2つの自治体にふるさと納税をし、40万円のゴルフクラブ・13万円の海鮮物を返礼してらった場合は、総額が53万円となるので所得税対象となります。
所得の項目は50万円の特別控除がある「一時所得」となり、ふるさと納税を行なった年の事業所得や給与所得などを一緒に加算し、所得税を出します。
お得にふるさと納税するためにも、返礼品を見て納税する自治体を決めたいものです。
ふるさと納税の確定申告とワンストップ特例はどっちがお得なの?
ふるさと納税は、確定申告の寄付金控除もしくはワンストップ特例制度として使えますね。
ワンストップ特例制度にした場合、控除されるべき金額はすべて住民税から差し引かれます。
確定申告で寄付金控除に適用する場合、控除を受ける項目が寄付金控除だけであれば、そのまま寄付金控除額が所得控除されます。
しかし、寄付金控除の他に住宅ローン控除などを利用したい場合は、所得税額より2つ合わせた控除金額が多くなり、控除されるべき金額が残ってしまうケースも。
そうするとお得に控除されるというよりかは、控除金額が残ってしまうのでどこか損した気持ちになる方もいるかもしれないですね。
納税する所得税額もしくは住民税などを見て、ご自分にとってどちらがベストなのか考えてみることをおすすめします。
ふるさと納税の確定申告は簡単なソフトで終わらせよう!
ふるさと納税での確定申告方法を解説してきましたが、よくわからない人は確定申告ソフトを活用することもおすすめです。
ふるさと納税(寄付金控除)を受けるには期間内に確定申告しよう!
当記事では、ふるさと納税で所得控除が受けられる寄付金控除の受け方について解説しました。
ふるさと納税の前年度の寄付金額によって所得控除は変わり、給与所得を受け取っている会社員やアルバイトなのか個人事業主なのかによって還付および控除方法が異なるとのことでした。
とはいえ、いずれにせよふるさと納税を行なっていてワンストップ特例を利用していなければ、納税金額に応じて必ずいくらかは所得控除されます。
「面倒くさい」なんていわず、ぜひふるさと納税をしたメリットを受け取ってみましょう。確定申告書類を作成するのが面倒なら、気軽に作成できる専用ソフトを使うのも大アリです。
ぜひ、ご自身のやりやすい方法でふるさと納税の確定申告を行ってくださいね!