「確定申告をするとお金が戻ってくる」ときいたものの、実際にどのようなことなのか分からない方もいるのでは?
確定申告で戻ってくるお金の正体は、1年間で払いすぎた税金が返金される還付金です。
とはいえ、誰でも必ず返金されるお金ではない点に気を付けたいもの。
そこで今回は、確定申告でお金が戻ってくる還付金の申告方法および条件や時期について解説します。
特に給与所得者で年末調整書類を提出し忘れた方、個人事業主の方、高額な医療費を支払った方やふるさと納税やセルフメディケーション税制を利用したい方はぜひご覧ください。
確定申告でお金が戻ってくる=還付申告
確定申告では、1年間で支払いすぎた税金の返金を申し出たり、年末調整では利用できない控除などを申告することで還付金を受け取れます。
そのため、すでに年末調整を済ませている給与所得者や自営業や個人事業主でも、還付金を受け取れる=お金が戻ってくる可能性があるのです。
還付申告方法 | 受取れる還付金を計算確定申告書類を作成して提出 |
還付申告場所 | お住まいの地域の所轄税務署国税庁e-Tax |
還付申告の時期 | 領収書もしくはレシート発行年から5年間のみ※できれば翌年の確定申告で還付申告すると忘れずに済むので安心 |
還付金は、自分でどのくらいの金額が還付されるのかを計算し、申告した場合にのみ還付(返金)される点に注意しましょう。
つまり、控除に値する行動をしていても還付申告しなければ、一向に還付金が振り込まれることはありません。また、国税庁から還付申告が来ていないなどの通告が来ることもないので、還付金を受取れる可能性がある場合には、自分で申告書類を作成し提出しましょう。
還付申告の疑問点を一気に解決!
ここでは、還付申告に関するよくある質問や疑問点に回答します。
還付金の受け取り方や時期など、還付申告でわからないことがある方はぜひご覧ください。
還付金はどのように受け取る?
還付金の受け取り方は、2種類あります。
1つ目は、還付申告書類に記載した本人名義の銀行口座に振り込んでもらう方法です。
必ず確定申告の書類記入者であり、申告者の口座でなければいけません。
還付申告の書類を提出してから、1~2ヶ月程度で口座に還付金が振り込まれます。
2つ目は、還付申告を行なった年の所得控除として還付される方法です。
そのため、1つ目の口座振り込みと異なり、還付金を現金で受け取ることはありません。
還付申請する項目や控除によって受け取り方が変わってくるので、還付申告前によく確認しておきましょう。
還付申告はいつでもできる?
還付申告は、該当年度の翌年1月から5年間であれば、いつでも還付書類を提出できます。
つまり、還付金が発生していれば、5年前のものであれば還付申告ができるのです。
還付申告の際には、領収書や控えが必要なので用意した上で書類作成してください。
確定申告の還付金 いくら?
お金が戻ってくるとなると、どのくらいの金額が戻ってくるのか気になりますよね。
還付される金額は、どの控除を利用していたのか・どのような項目で還付申告したのかによって変わってきます。
以下に一例をあげたので、ぜひご自身でも計算してみてください。
1.ふるさと納税など寄付金を行なったケース
ふるさと納税は、寄付金控除対象です。
この場合、1年間にふるさと納税した総額もしくは、1年間の総所得の40%どちらかで数が少ない金額から2,000円引いた金額が還付されます。
例えば、1年間にふるさと特別納税として50,000円寄付し、総所得(336万円)の40%が1,344,000円だった場合、50,000円から2,000円ひいた48,000円が還付対象です。
2.災害など被害にあって雑損控除対象となったケース
災害などで被害に合い、家や自動車など資産にダメージを受けた場合は、雑損控除の対象になります。
雑損控除は、以下の2つの計算式で出た数値が高いほうがそのまま還付されます。
- (被害にあった総額から保険金などを引いた金額)-5万円
- (被害にあった総額から保険金などを引いた金額)-(被害にあった年の総所得)×10%
保険に加入しておらず、すべて自費で被害・災害に対して対応した場合はそのままの金額で計算します。
被害が大きいほど還付される金額は高くなります。
⇒国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
3.医療費控除を利用したケース
1年間の医療費が10万円を越えると利用できるのが医療費控除です。
そのため、1年間に15万円の医療費がかかった場合は以下の計算で5万円が還付金となります。
実際利用した医療費15万円-医療費控除金額10万円₌還付金5万円
また、医療費控除の一環であるセルフメディケーション税制では、厚生労働省指定の市販薬を12,000円以上購入した場合に控除が受けられます。
つまり、薬を買ったお金が戻ってくることに。
例えば、市販薬で1年間に1世帯において30,000円分の市販薬を購入した場合は…
1年間で購入した薬代金30,000円-セルフメディケーション税制12,000円₌18,000円
18,000円が還付金として戻ってきます。
医療費控除とセルフメディケーション税制は一緒に利用できないので、どちらも条件にあてはまっている場合はどちらかを選んで還付申告してください。
確定申告 還付金 多い なぜ?
年末調整や確定申告の際に、還付金が多いと嬉しい反面、どこか疑ってしまいますよね。
還付金が多くなる理由は、このような原因が考えられます。
- 年度途中に入社したことで本来払わなくてよい所得税が引かれていたから
- 扶養控除や配偶者控除を受けることになった場合
- これまで払っていなかった国民保険料や国民年金を支払った場合
主に所得税を払いすぎていたことが原因なので、戻ってくる分には喜んで受け取ってください。
確定申告 還付金はどこから?
お金が戻ってくるとはいっても「いったいどこから出ているお金なの?」と疑問を持つ方も多いはず。
確定申告における還付金は、国庫金から出されます。
国に納めたお金をそのまま国から返してもらえるんですね。
還付金を受け取るには、必ず申告者本人の銀行口座を申告書類に記入する必要があります。
他人名義だと受け取れません。
また、ATMを通して還付金が振り込まれることはない点に注意しましょう。
もしも国税庁もしくは国庫金を名乗り、ATM操作を指示してくる場合は警察に通報しましょう。
還付金詐欺です。
⇒国税庁「税金の還付」
⇒警視庁「還付金詐欺」
還付金を受け取れる5つの条件
還付申告は、還付金を受け取れる条件を満たしている場合のみ行なえます。
ここでは、どのようなときに還付金を受取れるのかを解説するので、自分が還付金を受け取れるのか確認してください。
⇒国税庁「確定申告をすれば税金が戻る方」
条件①:給与所得があるが年末調整に控除書類提出を忘れた場合
給与所得がある場合は、勤めている会社側が年末調整を行ない、過払いした税金を計算し返金手続きしてくれます。
その際に、同時に受けられる所得控除がある場合は、該当控除書類を提出もしくは年末調整書類に記入しなければいけません。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 勤労学生控除
- 住宅購入のローン控除
例えば、上記にあてはまる控除について、年末調整の際に上記書類を提出し忘れ(書き忘れ)ていた場合は、自ら還付申告を行なって還付金を受け取る必要が出てくるのです。
年末調整で控除書類を提出・記入した場合はその年の所得税控除となります。
しかし、年末調整に間に合わなかった場合は所得税控除という形で還付を受け取るのではなく、現金振込の形で還付されることになります。
また、年末調整では適用できない所得控除を還付する場合には、確定申告で還付申告する必要があるので注意しましょう。
例えば、医療費控除・セルフメディケーション税制・雑損控除・ふるさと納税控除・寄付金控除・株式投資の損失繰上げ控除などです。
とはいえ、還付金額は、所得税のかかる所得額により変わってくるので控除全額が還付されるわけではない点をお忘れなく。
条件②:退職したものの年内に再就職しなかった場合
1年の間に退職したけれど同年に再就職しなかった場合は、還付申告が受けられます。
特に退職年の1月から退職月までの給与所得合計が103万円以内であると、所得税は非課税となるルールになっているので、勤務した数ヶ月で支払った源泉徴収額・所得税額が全額返還されることも。
確定申告の際には、書類作成の際に以下書類が必要になります。
- 退職した企業の源泉徴収票
- 退職後の国民健康保険料・国民年金保険料・生命保険料・地震保険料などの証明書控え
- ひとり親や障がいをお持ちの場合も証明できる書類
- 利用している銀行口座の通帳もしくはカード
上記証明書類を見ながら、白色申告を行ないましょう。
条件③:個人事業主などで源泉徴収額を天引きされている場合
個人事業主で報酬の支払いに際して源泉徴収額を天引きされている場合で、源泉徴収額を支払いすぎている状況に限って還付が受けられます。
例えば、下記条件にあてはまる場合は還付されやすいです。
- 年間の利益が赤字になっている
- 講演料や原稿料およびデザイン料が天引きされている・もしくはこれらに関する仕事を請け負っている
- 接待料が天引きされている・もしくはホステスやコンパニオンなどに関する仕事を請け負っている
- 芸能人・モデル・サッカー選手・野球選手として仕事を請け負っている
- 弁護士・税理士・司法書士・外交員のいづれかとして働いている
⇒国税庁「報酬・料金などの源泉徴収」
上記にあてはまり、なおかつ赤字だと確定した場合には、確定申告とともに還付申告を行ないましょう。
条件④:控除金額の申告を忘れていた場合(全員)
過去の確定申告もしくは年末調整において、控除金額の申告を忘れていた場合は、現時点から5年以内であれば還付申告できます。
年末調整で適用される所得控除のほか以下控除も対象となるので、還付を受けていない場合は早めに還付申告しましょう。
- 医療費控除…10万円を超える医療費を支払った場合
- セルフメディケーション税制…厚生労働省が指定する市薬品を年間12,000円以上購入した場合
- 雑損控除…詐欺・盗難・災害・横領などで資産被害を受けた場合
- ふるさと納税…ふるさと納税を行なった場合
- 寄付金控除…公共団体などに特定の機関に寄付金した場合
- 株式投資において損が出た場合
- 住宅ローンを契約して2年以降の場合
5年経った還付申告でも、申告方法は通常の還付申告と同じです。
確定申告の書類で還付金項目および必要事項を記入し、所轄の税務署もしくはe-Taxに提出します。
還付申告してから最長でも5年は、証明書類や控えを保管しておきましょう。
条件⑤:予定納税している場合
予定納税をしたものの年間所得額が予定より少なかった場合は、納めすぎた税金を還付してもらえます。
赤字となった場合は、必ず還付申告を行ないましょう。
確定申告で還付申告する方法
ここでは、還付申告のやり方を解説します。
確定申告・還付申告など難しい言葉が並んでいますが、やることはいたってシンプルです。
ぜひクリアして還付金を受け取ってください。
1.還付申告に必要な書類の用意
還付申告するには、以下書類が必要です。
還付申告書類を作成する際に、参照したり、税務署から提示を求められることがあるので用意してください。
- 確定申告書類(A・B)
- 還付金を請求したい控除を証明する書類
- 収入のわかるもの・源泉徴収票など
- 申告を行なう本人の銀行口座番号がわかるもの
特に還付金請求のために利用する控除を証明する書類や領収書は、原則として確定(還付)申告をしてから5年間保存する必要があります。
2.確定申告書類の記入
確定申告で主に以下項目を記入します。
- 収入金額・所得金額
- 控除されるべき項目の金額
- 還付されるべき合計金額
- 還付される税金の受け取り場所
記入漏れのないように確認しましょう。
3.所轄の税務署に確定申告書類を提出
所轄の税務署へ作成した確定申告書類を提出します。
自分で税務署にもっていく、郵送する、e-Taxで提出…3つの方法から選んで提出しましょう。
還付申告をして受理されてから、1ヶ月程度で還付金が振り込まれます。
還付申告は簡単にできる確定申告ソフトがおすすめ
還付申告は確定申告と同じ書類で作成し申告するので、苦手意識を感じているとなかなか作成が進まないですよね。
領収書発行から5年間の還付申告期間があるにしても、いつまでも放置しておくと忘れてしまい、還付を受けられる期間を過ぎてしまうことも。
そうなる前に、還付申告書類はだれでも簡単に作成できる確定申告ソフトを使うのがおすすめです!
ここでは、還付申告ができるおすすめの確定申告ソフトをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
ここでは、確定申告で払いすぎたお金が戻ってくる還付申告について詳細をお伝えしました。
年末調整や確定申告が済んでいても、過去5年分であれば申告の済んでいない控除に対して還付金が受け取れます。
どこかで忘れ去られている所得控除はありませんか。
もしも所得控除が受けられるものがあれば、ぜひ還付申告にチャレンジしてください。
想像するよりも多額のお金が還付されるケースもあります。ぜひ、忘れる前にお金が戻ってくる還付申告をしてくださいね。
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