近年、AIの発達とともに「AIが人間の仕事を奪うのではないか」というコラム記事や噂が出回っています。
そこで、この記事では、AIによって仕事が奪われると言われている根拠や奪われる可能性が高い仕事について現役エンジニアが解説していきます。
結論から言うと、以下の職種は仕事を奪われる可能性が低いです¥。
- カウンセラー
- 医者
- エンジニア
- Webデザイナー
それでは早速、確認していきましょう。
AIによって人間の仕事が奪われると言われている根拠
AIがなぜ人間の仕事を奪うと言われているのか、その根拠について解説します。
- 2045年問題
- 繰り返し作業・パターン化された作業なら人間より効率よくできる
- ビックデータを活用できる分野に強い
それでは、一つずつ見ていきましょう。
根拠①:2045年問題
2045年に、シンギュラリティ(技術的特異点)が起きると言われています。
シンギュラリティとは、AIの性能が人類の知能を上回ると見込まれる瞬間点のことを指します。
現時点のAI技術は、人間が与えたデータのもと人間が決めたアルゴリズムの範疇で結果を出すので、人間が想定した範囲を超えることはあまりありません。
しかし、今後AIが指数関数的に高度化しながら、自ら意思を持つようになっていくと言われています。
以上より、AIが人間の思考力を超えるようになり、人間の仕事を奪う日も近いということです。
根拠②:繰り返し作業・パターン化された作業なら人間より効率よくできる
AIは過去のデータからパターン化できるような繰り返し作業や単純な作業が人間よりも得意です。
そのため、工場の仕分け作業やテープ起こし、データ入力などの単純な仕事の分野にてAIの技術が使われ始めています。
以上から、人間の仕事に代わってAIが活躍できる仕事が増える可能性が高いと言われています。
根拠③:ビックデータを活用できる分野に強い
AIは大量データを分析しパターン化することができます。
そのため、コンビニの仕入れやコールセンターの自動音声、野菜の出荷管理などデータが手に入りやすい分野ではAIの活用が進んでいます。
以上より、ビックデータを活用し人間の仕事をAIで代替しようという流れが出てきています。
AIに奪われる可能性がある仕事
AIに奪われる可能性がある仕事について紹介します。
- 一般事務
- スーパー・コンビニ店員
- タクシードライバー
- 工場勤務
なぜ奪われてしまうのか理由も含めて紹介しますので、しっかり確認してくださいね!
それでは、一つずつ見ていきましょう。
無くなる仕事①:一般事務
一般事務は、AIが得意とするデータ入力などの単純処理が多いため、AIに奪われる可能性が高いと言われています。
ここで、エン・ジャパンで女性を対象に実施されたアンケートを紹介します。
◯AIにできる仕事をわざわざ人間にさせる必要がないのではないか。また人間には休みが必要だが、AIには休みが必要ないためコストパフォーマンスが高いのではないかと考えます。 (26歳)
◯処理能力の速さ・正確性などからみても、人間で起こりうるヒューマンエラーも減らせるし、人件費も削減でき、企業にとってはプラスの面が大きいのではないかと思うためです。(35歳)
◯10年から20年くらいでは、人の機微まで判断できるAIは開発されると思っていない。電話対応や例外処理の対応までは出来ないと考えているため、全ての仕事はAIに取って代わられないと思う。最終チェックは人間が行う必要があるのではないか。(24歳)
◯AI導入できる余裕がある企業はなくなるかもしれないが、小さな規模の会社はいろんな職種を兼務する人がいて無理だと思う。(30歳)
AIを導入するとヒューマンエラーが防げるという意見がある一方で、小規模の企業だと事務職の仕事範囲が広くAiでは対応しきれないのではないかという意見もあります。
以上より、大企業の一般事務職からAIに置き換わる可能性が高いです。
無くなる仕事②:スーパー・コンビニ店員
九州工業大学では、入退や支払いを自動管理する無人の生協店舗があります。
具体的には、AIが購入商品をカメラで識別し支払い金額を自動で表示するといった機能を持っています。
このように、スーパーやコンビニの自動化は今後も画像技術の発展と共に開発が進むと言われています。
無くなる仕事③:タクシードライバー
2021年に開催された東京オリンピックにて、トヨタのAIを搭載した「TOYOTA Concept-愛i 」を目にした方も多いのではないでしょうか。
日本でもトヨタを筆頭にAIを搭載した自動運転技術の開発が進んでいます。
また、NTTドコモで開発が進む「AIタクシー」は、リアルタイム移動需要予測技術を導入し、新人ドライバーでも熟練ドライバーと同様の乗車回数を達成することに成功しています。
以上より、タクシードライバーやトラック運転手などがAIに乗り替わるのも遠い未来ではないかもしれません。
無くなる仕事④:工場勤務
最近日本でも注目を浴びるようになってきた「スマートファクトリー」によって、工場の無人化が進んできています。
スマートファクトリーとは、AIやIoTの活用により、業務効率化やコスト削減を実現する工場のことを指します。
ここで、日本の大手企業における実例の一部を紹介します。
ユニクロを展開するファーストリテイリングでは、倉庫業務に画像認識AIを導入することで、ピッキング作業や配送仕分け、商品コンテナ片付けなどの効率化・自動化に成功しました。
また、空調機器設備を製造するダイキン工業では、技術者の技能をデジタル化できるシステムの導入を開始しています。
属人化しやすい工場では熟練者の技術をAIに覚えさせる技術が今後も発展していくと予想されています。
以上より、パターン化しやすい作業が多いので、工場におけるAI導入はますます進むでしょう。
AIが普及しても無くならない仕事
AIが今後普及しても、当分は無くなる可能性が低いお仕事について解説します。
- 医者
- カウンセラー
- エンジニア
- デザイナー
それでは、一つずつ見ていきましょう!
無くならない仕事①:医者
高度な技術と国家資格が必要な医者は、AI技術が発展しても無くならないと言われています。
近年では、国立研究開発法人国立がん研究センターなどが、大腸がんをリアルタイムに自動検出できる、AI診断支援医療機器「WISE VISION 内視鏡画像解析AI」を開発するなど医療業界でもAIの活躍が目立っています。
医療業界では、医師の判断材料となるAI技術が主流となり、完全に置き換わることは当分無い可能性が高いです。
無くならない仕事②:カウンセラー
心理カウンセラーはコミュニケーションが必要な職業なので、AIが普及しても無くならない仕事だと言われています。
心理カウンセラーの仕事内容は、悩みをもつ相談者の話を聞き、悩みに寄り添うように対話することです。
ただただ、話を聞くだけではなく、傾聴や対話などを通して相談者の悩みを解決するようなカウンセリングができなければなりません。
また、精神分析や行動療法といった心理療法などを行うため高度な専門知識も必要となります。
以上より、心理カウンセラーはデータだけではわからない複雑なコミュニケーションを必要とするため、AIが心理カウンセラーになるのは当分難しいでしょう。
心理学を学びたい場合は以下の記事を参考にしてくださいね。
無くならない仕事③:エンジニア
AIを開発する側のエンジニアは、AI技術が発展しても無くなることはないでしょう。
AIエンジニアの需要は国内外で増加していることもあり、エンジニアは無くならない仕事と言えます。
ただし、エンジニアの中でもプログラマーはAI技術の発展と共に無くなる可能性が高いです。
なぜかというと、プログラミングの自動生成技術にAI技術を利用する流れが出てきているからです。
具体的には、マイクロソフトとOpenAIが共同で、トップレベルのテキスト生成モデル「GPT-3」をプログラミングに適用する試みが始まっています。
今後しばらく、エンジニアはAIに乗っ取られる可能性は低いですが、プログラマーに関しては最先端のニュースに注目しておきましょう!
無くならない仕事④:デザイナー
AIが発達しても、デザイナーの仕事は無くならないといえます。
例えば、ファッションデザイナーのように最先端のデザイン技術や人が好むデザインを意図的に考える必要があるデザインはAIには難しいと言えます。
また、インテリアデザイナーのようにデザインだけでなく、照明や空間など複数の要素を考える必要があるデザインもAIが苦手です。
これらのデザイナー職はデータの組み合わせによって表現できる範囲を超えるので、AIに奪われにくい仕事と言えます!
AIに仕事を奪われる前に私たちが備えるべきこと4選
AIに仕事を奪われる前に私たちが備えるべきことについて解説します。
- AI企業に就職・転職
- AI時代でも使える資格を取得
- 複雑なデータや課題に取り組む思考力を身につける
- コミュニケーション能力を身につける
備えあれば患いなしです!一つずつ見ていきましょう。
対策①:AI企業に就職・転職
AIを開発する側になれば、仕事を奪われる心配はありません。
近年、日本では国をあげてIT・DX促進が進められているため、日本の大手企業だけでなくベンチャー企業の多くがAI事業に参戦し始めています。
ここで、AI事業に力を入れている日本企業の一部を紹介します。
- 富士通株式会社
- 日立製作所
- リクルート
- NTT
- パナソニック
- キャノン
- 本田技研工業
- NEC
さまざまなジャンルの企業がAIを活用しようとしていることがわかります。
仕事を奪われないためにもAIスキルを身に付けて、これらの企業に就職・転職しましょう!
対策②:AI時代でも使える資格を取得
上記で紹介したAI企業に就職・転職するために、AIスキルを持っている証拠としてAIに関連する資格を取りましょう。
AIに関連する資格は、以下のようなものがあります。
G検定 | ディープラーニングに関する基礎知識のもと、問題に対して適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識があるかどうかを認定します。 具体的には、人工知能の定義やディープラーニングの手法、ディープラーニングの社会実装への応用に関する問題が出題されます。また、「深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)公式テキスト」などの参考書やG検定取得対策講座などのサービスも多くあります。 毎回の合格率も低い時で60%台後半なので、しっかり勉強すれば取得しやすい試験です。 |
E検定 | ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識があるかどうかを認定します。E資格の特徴として、JDLAが認定するプログラムの受講を修了した場合にE資格の受験が可能になります。 E資格対象講座は、AIジョブカレ・テックアカデミー・Aidemy・キカガクなどの大手プログラミングスクールにて提供されています。また、E資格の合格率は60%後半〜70%前半となっているので、講座の内容を復習すれば合格できる試験です。 |
Pythonエンジニア認定データ分析試験 | Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う試験です。そのため、線形代数や確率統計などの基礎数学のほかに、Numpy・Pandas・Sikit-learnなどのPython言語独自ライブラリやフレームワークの内容が出題されるのが特徴的です。 R言語やExcelを使って普段データ解析を行っている方は、「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」の本で勉強すると効率よく取得することができます。 |
画像処理エンジニア検定 | リモートセンシングやロボットビジョン、画像映像系製品などのソフトウェアやシステム、製品などの開発を行うための知識を確かめる試験です。2値画像処理や平滑化、カメラキャリブレーションなどの画像に関する知識を問う問題が大半です。 AIの知識としては、機械学習による画像認識の応用例やCNNによる画像認識と画像生成など画像処理技術に特化した内容が出題されます。また、「画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集」が参考書としてオススメされています。 |
AI実装検定 | AIの中でもディープラーニングと画像分類の実装スキルに焦点を絞り、主に以下の3つの基礎力を測定します。ディープラーニングの実装に必要な数学の知識ディープラーニングの実装に必要なプログラミングの知識ディープラーニングの実装について基礎理論の理解また、下からB級・A級・S級の3つの難易度別の検定が用意されています。さらに、AI実装検定の合格者には「ディープラーニング実装師」の称号が付与されるメリットもあります。 |
AWS 専門知識認定資格 | AWSクラウドに関する基礎的な知識やスキルを確かめる世界で通用する資格です。試験の種類もスキルのニーズに合わせてさまざまで、スペシャリティ認定を対象とした専門知識を検証するロールベースの認定資格と、特定の技術分野の高度なスキルを検証するための専門資格認定が提供されています。また、試験合格のための学習サポートも充実しており、以下のようなものがあります。 模擬試験ホワイトペーパーAWS のサービスの無料利用枠ブログAWSは企業で最も採用されているクラウドプラットフォームなので、AIエンジニアとして働く上で欠かせない資格と言えます。 |
データベーススペシャリスト試験(高度情報技術者試験) | データベースの技術的な専門知識を有することを証明するための国家資格です。主に、膨大なデータを管理しパフォーマンスの高いデータベースシステムを構築する能力を測ります。 また、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供しなければならないデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適な資格内容となっています。情報処理技術者試験のスキルレベル4(最大4まで)に認定され、高度情報処理技術者試験に含まれています。 |
基本情報技術者試験 | ITの基本知識やプログラミングとアルゴリズム、論理的思考力やマネジメントの知識などテクノロジー系からマネジメントまでITに関する幅広い知識を問われるのが特徴的です。毎回の合格率は20%〜30%に止まりあまり高くありませんが、出題内容としては高校から大学1年生の知識レベルなので難易度は低めです。基本情報技術者試験は、ITエンジニアになるための必要最低限の知識をまとめた試験です。 |
応用情報技術者試験 | システム開発やIT基盤構築などのIT技術から管理、経営など幅広い知識と応用力を問う資格です。基本情報技術者試験の応用編となっており、出題範囲は狭くなりますがより深い知識が必要となります。また、マークと記述形式の混合タイプなので曖昧な知識では合格できません。 |
ITパスポート | ITを利活用するすべての社会人や学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識がある人材として証明できる国家試験です。AIの知識は「新しいITの知識や手法」の項目で出題されます。また、ITパスポートはエントリーシートへの記入をはじめ、多くの企業で積極的に活用されています。 さらに、大学や高校ではITパスポートのシラバスに沿った授業を行う学校もあり、合格支援のため対策講座を開設する学校も増えています。 |
対策③:複雑なデータや課題に取り組む思考力を身につける
AIが苦手なことの一つに、複雑で滅多に怒らない事象や出来事から予測・応用すること挙げられます。
人間は不測の事態が起きたとしても、過去の似たような状況から考えて行動に移すことができます。
そのため、思考力を付ければAIに奪われない仕事に就くことが可能と言えます。
対策④:コミュニケーション能力を身につける
現場のAIは人間のような思考力を持ち合わせていないため、与えられたデータから逸脱するような柔軟なコミュニケーションはできません。
少し前の情報になりますが、2011年にAI(人工知能)を東京大学に合格させるというプロジェクトが立ち上がっていました。
しかしながら、AIは基礎読解力が必要な偏差値65の壁を越えることができませんでした。
この実験から、現状AIでは文章から内容を読み取る力や基礎的なコミュニケーション能力ですら危ういことがわかります。
以上より、AIより優位に立つためには、コミュニケーション能力を鍛えることが効果的と言えるでしょう!
まとめ:AIに仕事を奪われる前に対策しよう
今回、AIが人間の仕事を奪う可能性について解説してきました。
AIの不得意分野を伸ばすことで、AIにより失業する可能性を無くすことができるでしょう。
今回紹介した「備えるべきこと」を参考にしてくださいね!