IT業界は、求人よりも希望者の方が多い「売り手市場」の状態が続いています。そのため、人手不足が深刻な企業は多くあり、エンジニアとして職探ししている人も好条件・待遇の良い企業を求める傾向があります。今後、どのような流れになっていくのでしょうか。
売り手市場とは
売り手市場とは、企業の採用数が就職活動を行う人数よりも多く、就職活動している側が有利とされる状況を現わしています。IT技術は、現在の生活に密接な関りを持ち重要なものです。そのため、今後なくなることのない仕事であることは事実です。
売り手市場はいつまで続くのか
景気によって異なる事実があるものの、売り手市場はしばらく続く傾向にあると考えられています。考えられる理由は次の3点があげられます。
- エンジニア不足が深刻化
- 優秀な人材を求めている企業が多くある
- 仕事が安定的に続かない
それぞれについて詳しく説明していきます。
エンジニア不足が深刻化
IT業界は、今後AIの発展などから考えても必要不可欠な職業であると同時に、人口減少なども踏まえて技術者が不足することが考えられます。経済産業省では、『2030年に約79万人の需要に対する供給不足』であることが推測しており、今後、人手不足に陥るのは避けられない現実です。(参考:IT 人材需給の試算結果|経済産業省情報技術利用促進課)
今後も、長期的にIT業界の「売り手市場」は続くものと検討つきます。その理由に、「ITじゃない会社のIT化」が起こるという懸念材料です。結果的に、エンジニアの人材不足が深刻化になり、売り手市場という状況は落ち着かないのは簡単に想像できます。
特に、今後人材が不足している分野は次の3点であると考えられます。
- IoT(アイオーティー)
- クラウド
- AI(人工知能)
これらは、まだ新しい技術であり人材が十分に育っていないこと、多くの企業が欲している技術であることから、人材不足が考えられます。この点についてしっかりと勉強しておくことで、今後、転職する時の採用率が上がるかもしれません。
主に次のようなエンジニアになれます。
- AIエンジニア
- AI営業・活用コンサルタント
- データサイエンティスト
- データアナリスト
AIエンジニア、営業・活用コンサルタントは、AIを用いた職業です。エンジニアでは、AI技術の開発で実用的なAIを生み出すために研究などが行われていきます。企業などから受けた「こんなAIがほしい」という要望を叶える必要もあります。また、営業・活用コンサルタントでは、AIを導入していない企業にAI技術を売り込む仕事です。AI技術のメリット・デメリットについて十分把握した上で、営業しなくてはなりません。AIに関することをしっかりと勉強しましょう。
AIエンジニアの年収推移は、以下のようなデータがあります。
(引用元:AIエンジニアの年齢別年収予想推移と給与ボーナス予想推移)
データサイエンティスト、アナリストは、データを扱う仕事です。大量のデータを分析し、その中から必要な情報を抽出する技術者がデータサイエンティストで、抽出されたデータをもとに何をどう役立てるかを考えるのがアナリストです。IT技術が成長すると扱うデータが増えてきます。このデータを分析し、役立たせなくてはなりません。
データサイエンティストの年収は以下の通りです。
(引用元:データサイエンティストの年収や給料について詳しく解説します!)
IoT(アイオーティー)とは
IoTは、「Internet of Things(モノのインターネット)」という意味です。インターネット経由で、センサーと通信機器の情報を共有するツールで、例えば、「窓が開けっぱなし」という状況をスマートフォンに通知するようなツールであれば想像つくでしょうか。モノがインターネットを経由して状況を伝える近未来的な現実が今、始まっています。
IoT関連の職業は以下のようなものがあります。
- ネットワークエンジニア
- ロボット工学技術者
ネットワークエンジニアは、コンピューターネットワークの構築や管理をする仕事です。IoTの発展とともに、ネットワーク構築の需要が高まっている傾向があります。ネットワークエンジニアになるには、基本のプログラミング・ハードの知識と一緒に、ネットワークの仕組み自体の深い知識をもつことが大切です。
ロボット工学技術者は、ロボットの設計や開発を行う仕事です。IoTでは、インターネットに接続された状態が前提の設計となるため、ロボットの設計などの知識だけに留まらず様々な知識が必要となります。また、コミュニケーション能力も求められていきます。
クラウドとは
クラウドは、ユーザーがサーバーやソフトウェアを持たなくとも、インターネットを通じて必要なサービスを必要なだけ利用できるものです。「クラウド・コンピューティング」と呼ばれることもあります。例えば、文章を作成するためにソフトウェアを購入しなければ作成できなかったものが、クラウド上で文章の作成が行えるようになることなどです。写真の共有なども、クラウドを利用して行うという流れも一般的となってきました。
クラウドサービスでは、「AWS(アマゾン ウェブ サービス)」を利用している企業が多くあるようです。AWSは、世界で最も広く採用されているクラウドプラットフォームです。急成長しているスタートアップの企業や大手企業、政府機関などが利用してコストを削減し、イノベーションを加速しています。
最大規模のコミュニティがあり、アクティブなお客様と数万のパートナーと繋がりをもっています。AWSは、コンピューティング、ストレージ、データベースなどのインフラストラクチャテクノロジーから機械学習、AI、データレイク、分析、IoTなどの新技術まで、他のクラウドプロパイダーよりも多くのサービスが展開されています。
AI(人工知能)とは
AI(人工知能)は、人工的に人間的な知的・ふるまいの一部をソフトウェアを用いて再現したものです。経験を積み学習していくスキルを持ち、人間と同じように成長していきます。自動的に成長していく仕組みで、ビジネスシーンや生活などにおいても活躍が期待できる技術です。
AI分野は、これから発展していく技術であることは誰が見ても明らかではないでしょうか。人間の力あって機械をコントロール(操作)しなくてはならなかった時代から、機会が自ら考えて動けるので、人間の仕事が減り機械の仕事が増えていきます。
現在、行政書士や税理士などの職業もAIに代替え去れる可能性が高いと言われています。また、AIによる診察は医師が行うよりも精度が高いのではないかと考えられます。AIの開発者・管理者は必要なので、将来を見据えた知識を深く学んでおくことが必要です。
優秀な人材を求めている企業が多数ある
いくら人材不足と言っても、当然ながら企業は「優秀な人材」を求めています。先ほど紹介した、新技術や新しい言語などIT業界の進化は顕著です。そして、開発スピードと優秀な人材は直結していると考えても過言ではないでしょう。
基本的な知識だけでは、新しいスキルを身につけたり、新技術の開発に繋げにくかったりするので、新しい情報なども柔軟に収集し扱える優秀な人材が必要です。
仕事が安定的に続かない
エンジニアの人材不足という点では、「仕事が安定的に続かない」ということが懸念材料です。大変な職業のため、待遇のいい企業に転職をしたり、エンジニア事態辞めてしまったり、ということが起こりやすい業界なので、人材不足になります。また、好待遇の企業に優秀な人材が流れるという傾向もあります。
転職した先の働く環境が自分に合わなかったということも多くあるようです。
エンジニアとして自分を売り手市場にする方法
エンジニアとして、自分を売り手市場にする方法について紹介します。どの人材よりも、自分を手に入れないと企業としての損害が大きいことを示せます。
具体的には、次の3点です。
- 先進スキルを極める
- スキルを掛け算させる
- エンジニア脳を自分の価値にする
詳しく紹介していきます。
先進スキルを極める
革新的なエンジニアになりましょう。専門性が高いエンジニアになることで、自分の価値を高めることができます。エンジニアにも様々な種類があり、システム構築が非常に簡単になってきたので、未経験者でできるような業務になっています。
その中でも、より高い技術を提供できれば必要とされる「優秀な人材」になれます。自分のもつスキルを深く掘り下げ勉強や経験を積むことが大切です。
今、注目されている技術は「自動運転技術」や「自然言語処理」などが挙がります。
自動運転技術とは
自動運転技術は、各自動車メーカーが競争しながら技術開発を進めていますが、自動運転を実行するにあたっての安全性や効率性などの向上が求められます。自動運転レベルは4~5まで進めば、運転手が必要なくなるとされています。(引用元:現在の「自動運転」の技術レベルは?)
自然言語処理とは
自然言語処理は、音声アシスタントや翻訳、チャットボットなどのサービスを支える技術です。自然言語というのは、ひとつの言葉に対して考えられる言葉の曖昧性についてコンピュータに処理させる技術です。プログラミング言語などは、人工語と考えられ曖昧性がありません。コンピュータで、この曖昧性のある「自然言語」を処理させることができたら、より音声アシスタント、翻訳など生活で役に立つ技術になることが期待できます。(引用元:今さら聞けない「自然言語処理(NLP)」とは?)
スキルを掛け算させる
企業側は、多くのスキルをもつ人材を求めています。ビジネススキルと技術スキルを持っていると重宝されます。1つのスキルを深くまで突き詰めることも当然重要ですが、複数のスキルをもつことで優秀な人材として活躍できます。ビジネススキルと合わせて、エンジニアスキルも身につけておくことで、総合的に優秀な人材として求められます。
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IT業界の転職事情
IT業界の転職事情について考えていきたいと思います。IT業界は、今後も必要とされる職業のため、エンジニアも含めて需要のある職業なので、仕事が無くなることはまず無いと考えてよいと思います。ただ、競争率が激しくなり、次のような点で転職なども大変になってくることが予想されます。
- 年齢によって状況が大きく異なる
- 未経験でも転職可能
詳しく解説していきます。
年齢によって状況が大きく異なる
エンジニアの転職を含め、IT業界への転職は年齢によって状況が大きく異なります。人手不足が深刻ではあるものの、やはり注目されるのは「20代」の技術者です。若いエンジニアを育てることで、自社でずっと活躍できるエンジニアになることを見込んでの採用が期待できます。自身の可能性を広げるためにも、20代のうちに転職をしておくと良いでしょう。
ただし、30代だからといって転職ができないわけではありません。30代ということは経験やスキルなども豊富でしょうから、その点で採用に繋がる可能性も考えられます。また、勉強する意欲や新しい知識や情報を収集できるのであれば、採用率も上がるかもしれません。
未経験でも転職可能
IT業界は、未経験でも転職ができる点がメリットでもあり、業界人からすれば競争率が上がる点からデメリットでもあります。人手不足だからこそ、未経験者でも転職しやすい業界です。ITに関する知識や経験がある方が人材として求められますが、初心者の方がスキルや知識を吸収しやすい可能性があるので「見込み採用」される可能性も高まります。
また、未経験者へのサポートが分厚い点もIT業界の特徴であると言えるでしょう。
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大手からスタートアップ、好待遇案件、キャリアチェンジなど、自分にあった求人などを紹介・提案してくれます。非公開案件などもあります。丁寧なカウンセリングで、ミスマッチが少ない転職を実現してくれます。
IT業界で求められている人材
人手不足のIT業界で求められる人材は、どんな人材なのでしょうか。自分がどのタイプに当てはまるのか見直してみるのも良いかもしれません。また、企業に対してのアピールになるので、転職を有利に進められます。
ITや技術をもつ人材
当然ながら、IT技術や知識は必須です。業界未経験だとしても、知識や技術の習得を前向きに行っているアピールをしましょう。常に進化し続けているIT技術は、新しい情報を学習しながら身につけていけるよう日々の努力が大切です。
また、ITエンジニアのポートフォリオなどがあると「自分がどのような資格や技術をもっている」のかを証明できます。あくまでも、「素晴らしいものを作る」のではなく、あなた自身のスキルや技術を示すためのポートフォリオを制作しましょう。
(引用元:あると差がつく!ITエンジニアのポートフォリオの作り方)
ポートフォリオには、以下内容を記載します。
- 氏名
- 経歴(学歴や職歴など。但し職務経歴書と異なり、ある程度まとめてもよい)
- 得意とする仕事やプログラミング言語など
- 自ら作成した、あるいはプロジェクトに参画したシステム
- 連絡先
また、そこに経験のある業種やプロジェクトなども合わせて執筆しましょう。
- これまで在籍した会社名や、担当した業種
- 参画したプロジェクトやその内容、およびプロジェクト内における役割
- 作成したアプリやサービス
- プロジェクトで活用した言語
制作したプログラムをWeb上にアップしておき、そのURLを貼っておくと親切です。
おすすめの書籍
提案力のある人材
クライアントの要望に対して、課題解決に向けた良い方法があった時にしっかりと提案ができるようにしましょう。プロジェクトに参加して仕事をすることが増える業界なので、提案力を身につけておくことは大切です。
提案力を身につけるためにおすすめの本はこちら
学習意欲のある人材
IT技術は、進化し続ける業界です。学習意欲のある人は、常に新しい情報を収集しながら、知識として蓄えていけます。新しい技術に追いつけなくなってしまわないように、日々、進化する技術についての学習をし続けましょう。
今後の転職活動はどうなるのか
今後のIT業界への転職活動はどうなるのでしょうか。転職活動の形式について紹介します。
オンライン転職活動が増えていく
今後は、オンラインでの説明会や面接が増えていくことが容易に想像つきます。企業に勤めながら転職活動がしやすくなると思います。対面式での面接ではないので、Web面接での選考など対策を検討する必要が出てきます。
Web面接では、マイクやカメラなどの機材を揃えることから始めます。主にZoomやSkypeなどのソフトを使って面接が行われますが、どの点でも「背景」「服装」などについては気を付けた方が良いとされています。背景では、整った背景であることが望ましいです。例えば、白い壁だけが映っている状態であると清潔感があり、面接を受ける側としての評価が下がりにくくなります。服装などについても、面接であることを忘れずそれぞれの企業に応じた服装で面接を受けましょう。(引用元:初めてでも安心。Web面接の準備からマナーまで徹底解説)
リモートワークの重要視
IT業界は、パソコンとネット環境、セキュリティなどが整っていれば、いつでもどこでも働ける職業です。そのため、今後もリモートワークで働けることが重要視される流れになります。週に何回、出勤する必要があるのかを確認しましょう。
転職する時の注意点
IT業界に転職する時の注意点は、どのようなものがあるのでしょうか。次の点について紹介します。
- 企業の求めるスキルをもっているか
- 情報収集を怠らない
- 選考対策を入念に行う
- ポータブルスキルを身につけておく
詳しく説明していきます。
企業の求めるスキルをもっているのか
自分が所有しているスキルが企業の求めるスキルと合致しているかどうかを確認します。IT企業へ闇雲にエントリーをしても書類選考が通りにくくなってしまう理由のひとつに、持っているスキルが企業の求めるスキルではないことがあるためです。
一度、自分のもつスキルが企業の求めるスキルかどうかを確認しておきましょう。
情報収集を怠らない
企業の情報収集をはじめとした、業界の情報についてしっかりと知っておきましょう。IT業界のトレンドについて知識をもっておくことで、話題を振られた時に対応ができます。当然として、IT業界の知識をもっていることが大前提となることもあるので、しっかりと情報収集を行いながら、転職を有利に進めていきましょう。
選考対策を入念に行う
企業について調べたら、選考対策も入念に行っておきましょう。職務経歴を採用担当者にしっかりと伝えられるようにしておくこと、どのような人材(スキル)がほしいのか調べておくこと、準備をしておくことが大切です。選考の確立をあげる対策は、企業の情報を仕入れておくこと、選考する特徴を調べておきましょう。
ポータブルスキルを身につけておく
テクニカルスキル以外にもポータブルスキルを身につけておきましょう。ポータブルスキルは、どのような業界においても持ち運びができるスキルです。転職を考えているのであれば、テクニカルスキル以外に、課題解決能力や実行力、スケジュール管理やコミュニケーション能力が必要です。どの業界であっても必要なスキルなので、転職の成功が近づいてくる可能性が考えられます。
おすすめ書籍
まとめ:全ての職種において不安定だからこそ勉強を続けていきましょう。
いかがでしょうか。エンジニアは、売り手市場であり続けることは避けられません。そんな中で、いかにどのようにしたら選考が通るのか、実際に入社した時に即戦力になれるか、といった点で情報収集を第一に行うようにしましょう。