「DX推進部に配属されたけど、具体的に何から取り組めばいいのかわからない」
「DX推進に成功した事例を参考にして、自社にも取り入れたい!」
この記事では、DX推進についてガイドラインや指標を成功事例と共に解説したいと思います!
DX推進に欠かせない基本事項から丁寧に解説しているので、最後まで読んでくださいね!
DX(デジタルインフォメーション)推進とは?
そもそもDXとは何を示す言葉なのでしょうか。
- DXの定義
- DX推進が求められる背景と理由
上記項目について解説していきます!
DXの定義
デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)とは、デジタル技術により、人間の生活をより豊かに変革させる概念のことです。
また、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」にて、以下のように定義されました。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
これらから、日本においてのDXはビジネスとデジタルを組み合わせるという意味で使用されることがわかります。
DX推進が求められる背景と理由
DX推進が求められる背景として人手不足や企業の優位性向上などがありますが、ここ最近でDX推進が加速した理由として新型コロナウイルス感染症対策が挙げられます。
対面が重視されていた営業やマーケティング活動において、従来の方法では通用しなくなってきました。
そのため、今後ますます企業における構造的な働き方の変化が進むといえます。
ニューノーマルへの対応が急速に進む中、DX推進への注目が各業界で高まっています。
DX推進の理解に欠かせない「DX推進ガイドライン」と「DX推進指標」とは
DX推進の理解に欠かせない「DX推進ガイドライン」と「DX推進指標」について理解しましょう。
- DX推進ガイドラインの概要
- DX推進指標の概要
それでは一つずつ詳しく見ていきましょう!
DX推進ガイドラインの概要
「DX推進ガイドライン」は以下の2つの項目で主に構成されています。
- DX 推進のための経営のあり方、仕組み
- DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築
それでは各項目について詳しく見ていきましょう!
DX 推進のための経営のあり方、仕組み
【経営戦略・ビジョンの提示】
DX推進のためには、具体的な経営戦略やビジョンを策定し、信頼性の高いビジネスモデルを構築できているかどうかが重要といえます。
経営陣が率先し、事業分野や手段、どのような価値を提供するのか、会社としての具体的な経営戦略やビジョンを提示しましょう。
【経営トップのコミットメント】
経営層がDX推進に強い当事者意識や危機感を持って取り組んでいるかが、その企業における成功のカギとなります。
ビジネスや組織の仕組み、企業文化そのものの変革を進めましょう。
【DX推進のための体制整備】
DX推進のための体制整備は以下の3つの項目が重要です。
- マインドセット
- 推進・サポート体制
- 人材
デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築するためには、経営層が社員の新しい挑戦を促し、挑戦できる環境を整える必要性があります。
【スピーディーな変化への対応力】
DX推進によりビジネス環境の変化に対応することで、市場内での競争優位性を高めます。
具体的には、経営方針転換やグローバル展開等へのスピーディーな対応が可能となります。
DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築
【全社的なIT システムの構築のための体制】
DX推進のためのITシステムを構築するためには、組織内での体制や部署ごとの相互連携、人材の確保がうまくできるような一貫性のある体制を目指しましょう。
ガイドラインには、「経営トップと事業部門、情報システム部門からなる少人数のチームを組織して、トップダウンでDXに取り組む。」という事例が取り上げられています。
【全社的な IT システムの構築に向けたガバナンス】
部門や事業部ごとに個別最適となるようなITシステムの導入や構築ではなく、会社全体で一貫したITシステムの構築が必要です。
そのためには、組織で最適な環境を目指すガバナンスが求められます。
【変化への追従力】
ITシステムの刷新後も組織の仕組みや新しい領域のITシステムの導入検討などシステムのアップデートが必要です。
ビジネス環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるようなシステム環境や人事制度を心がけましょう!
DX推進指標の概要
経済産業省が策定している「DX推進指標」とは、「経営者などが社内の現状や課題を共有し、DX推進における行動につなげるための気づきを与える評価基準」のことを指します。
定性指標は大きく「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」に分けられます。
ビジョン・人材育成/確保・ガバナンス/体制などの全35項目からなり、それぞれの項目を企業が回答していくことでDX推進レベルを自己診断できます。
DX推進によるメリット
DXについて理解が進んだところで、DXのメリットについて解説していきます。
- BCPの充実
- 業務や組織の改革ができる
- 新しいビジネスモデルを確立できる
それでは一つずつ見ていきましょう!
メリット①:BCPの充実
BCP(事業継続計画)とは、災害やシステム障害、新型コロナウイルスのような危機的状況に陥った際にも、被害を最小限に抑え、スムーズに業務を継続するための対策などを決めた計画のことです。
DXを推進した結果、業務の効率化ができていれば、上記のような不測の事態にも柔軟にかつ迅速に対応することができます。
DX推進はBCPの充実にも貢献できるメリットがあります。
メリット②:業務や組織の改革ができる
DX推進は、既存ITシステムや古い組織体制を一新することができます。
古いシステムはレガシーシステムと呼ばれ、放置したままでは、生産性の向上が難しいだけでなく維持費も高額です。
さらには、引き継ぎもろくにできず扱える人材が少なくなることで、システムのブラックボックス化まで引き起こします。
DX推進によって、日本企業が抱える社内システムの複雑化やブラックボックス化を避けることにもつながります。
メリット③:働き方改革が実現する
DXを推進することで、従業員の働き方改革が実現することができます。
なぜならば、今まで紙ベースで処理していた業務がデジタル化することで、大幅な業務効率化につながるからです。
具体的には、社内コミュニケーションツールやプロジェクト管理ツール、経費精算システムなどが挙げられます。
このようなツール導入により、リモートワークが実現するなど働き方が変わるメリットがあります。
DX推進に成功した日本企業の事例
DX推進に成功した日本の企業における事例をいくつか紹介します。
- 農業の事例:オプティム
- 製造業の事例:クボタ
- 交通業の事例:Japan Taxi
- 電機メーカーの事例:三菱電機
それでは見ていきましょう!
医療の事例:オプティム
オプティムでは、医療業界のDXをテーマとした医療メディア「Medical DX(メディカルディーエックス)」を提供しています。
同社で行っていた農業メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」による農業の発展を目指し、情報発信を行ってきました。
それを医療業界へ応用し、「Medical DX」では予防・診断・治療・手術・介護・創薬といったカテゴリーに対して、AIやIoT・ビッグデータを活用した最新の実例やノウハウを簡単に知ることができます。
製造業の事例:クボタ
クボタは事業本部ごとに分かれていたIT部門を統合し、新たにグローバルICT本部「G-ICT本部」を設置しました。
DX基盤を構築し、ビッグデータやAIなどの最先端技術を積極的に活用しながら、意思決定とアクションをスピードアップさせることで、顧客価値の新規創出と最大化を図っています。
さらに、マイクロソフトとの戦略的パートナーシップの締結を機に、Microsoft Azureなどのマイクロソフトのサービス基盤を多面的に活用し、DXを加速させていきます。
これにより、AIなどの先端技術の活用が容易となり、AI活用によるイノベーション創出を目的とした「AI Machine Learning Labプロジェクト」を立ち上げています。
例えば、堺製造所で既に始動しているAI画像診断プログラムでは、これまで人による製品検査を、AIが解析し、リアルタイムで自動検査するという取り組みがあります。
今後クボタでは、食料・水・環境分野における課題解決に直結する新しいAIの活用方法を進める計画を立てています。
交通業の事例:Japan Taxi
日本交通は2011年に日本初のタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車(現在のJapan Taxi)」をリリースしました。
同アプリを開発した背景として、海外で既に進んでいたUberによるオンライン配車サービスの影響がありました。
また、日本交通では、自社でエンジニアを雇い自社サービスのDX化に取り組むだけでなく、開発サービスを他社タクシー会社に提供することで、業界全体のDX化に対しても貢献しています。
さらには、ドライブレコーダーや走行履歴といったタクシーならではのデータを活用し、道路情報の解析や需要予測などにも取り組んでいます。
電機メーカーの事例:三菱電機
三菱電機は、「iQ Care Remote4U」という顧客の稼働工場・データセンター・三菱電機サービスセンターがそれぞれloTでつながりあうサービスを実施しました。
開発に至った背景として、顧客の稼働工場で何かトラブルやエラーが発生した場合に、現場の状況を自社のエンジニアが把握するまでのタイムラグがあり、顧客への対応が遅くなるという課題がありました。
同サービスにより、サービスセンター側でトラブルの把握から加工機の状態を遠隔診断できるため、自社のエンジニアが現場に出向せずともリモートですぐに対応可能となりました。
トラブルやエラーに対する迅速な解決が可能になっただけでなく、顧客側でも生産性向上による売り上げ増など、収益を増やすことが可能になりました。
DX推進の際に抑えるべきポイント
DX推進を成功させるために抑えるべきポイントについて、3つ解説します。
- DX推進のための費用を確保
- DX人材の確保と育成
- 現状改善したい業務の洗い出し
それでは一つずつ確認していきましょう!
ポイント①:DX推進のための費用を確保
経済産業省の「DXレポート」によると、IT予算の9割以上が老朽化したシステムの維持費に充てられているそうです。
日本では戦略的なIT投資ができていないため、DX推進が他国と比較し遅れているという現実があります。
そのため、DXを推進する際にはどこの事業に・どれほどの予算/費用を充てるか検討する必要があります。
また、DX人材確保・育成のための予算も計上しなければなりません。
このように、DX推進を成功させるためにはまず費用の確保が肝心と言えます。
ポイント②:DX人材の確保と育成
日本では、DXを推進できるIT人材が上層部でも現場でも不足しているという現実があります。
そのため、DX推進のためのサービス運用を成功させるためにも、IT人材の確保・育成は企業にとって大きな課題といえます。
そこで、最近はTech Academy(テックアカデミー)が提供するDX人材育成のための講座を利用する企業も増えてきています。
外部のシステム会社に頼ることなく、自社の人材をDX人材として育成できるメリットがあります。
今後、IT人材の獲得競争がますます激化していくなかで、企業が勝ち抜くためにも自社でDX人材を確保と育成が重要と言えるでしょう。
テックアカデミーのDX講座は参考記事にてご確認下さい。
ポイント③:現状改善したい業務の洗い出し
DXを推進するためには、「DX推進で実現したい要望」を社内全体から精査し、DXの開発・運用担当が既存システムの課題の分析をしましょう。
新たな技術導入やシステムアップデートが部門別に行われていた場合、システム全体を把握できていないといったことがよくあります。
こうした現状改善したい業務の洗い出しは、これまでのシステムを刷新するためにも社内全体での連携が必然と言えます。
まとめ:DX推進で業務効率化を進めよう!
今回、DX推進について、ガイドラインや指標、実際の事例などを紹介してきました。
DX推進によって、対外的に貢献できるだけでなく社内の働き方改革につながるメリットもあります。
日本全体でDX推進の流れがある中で、積極的に取り組みましょう!