「赤字だったけど確定申告は必要なのか」と悩んでいませんか?
赤字だと所得税は一切発生しない状況なので、確定申告は必要ないと思われがち。
しかし、赤字だからこそ確定申告が必要なんです!
そこで、当記事では赤字だからこそ確定申告をおすすめする理由をご紹介します。
また、赤字の確定申告に必要な損失申告についても解説するので、赤字になった・もしくはなりそうな自営業・個人事業主の方はぜひご覧ください。
赤字だからこそ確定申告がおすすめな理由7つ
赤字になった場合は、必ずしも確定申告を行なわなければいけないというわけではありません。
しかし、赤字でも確定申告するとメリットが多いのです。
そこで、ここでは、赤字だからこそ確定申告をおすすめする理由を解説します。
理由①:赤字分が翌年以降の所得控除になる
赤字分は、翌年以降に所得控除として活用できます。
例えば、2021年に100万円の赤字が出た場合、2022年の利益から同等金額を差し引き、指しいた金額に所得税がかかります。
つまり、所得税を減らせるのですね。
しかし、注意点として、赤字分の繰り越しは、赤字となった年から3年間のみ有効であることと、青色申告のみで利用できる方法だと抑えておきましょう。
理由②:青色申告なら前年度納税額から繰り戻しできることも
青色申告で赤字申告する場合、今年度の損失金額分を前年度の納税額から繰り戻し出来ることもあります。
前年度の利益が黒字だったことを前提に、以下計算式で出てきた金額が還付されます。
【前年度の所得金額-今年度の赤字金額₌前年度の修正所得金額①】
【①×金額に応じた所得税率₌前年度の修正所得税】
【前年度の修正前所得税-修正後所得税₌還付金】
これを純損失の金額の繰り戻しといい、以下条件にあてはまる場合のみ還付金の請求ができます。
- 前年度も今年度も青色申告で所得税申告を行なっている/予定だ
- 上記計算式で前年度の修正前後所得税額で差額が出ている場合
また、前年度に赤字で一昨年に黒字だった場合は、前年度の赤字分を一昨年の黒字所得から差し引き、修正前後の所得税額の差額を還付してもらうこともできます。
還付を受けるには、必ず確定申告の期日までに青色申告を提出する必要がある点に気を付けましょう。
株式譲渡で損益通算できることも
株式譲渡等で損失が発生した場合、損益通算できることもあります。
損益通算とは、確定申告を行なう年に株式譲渡などで損が発生した場合に、損した金額を所得税のかかる所得金額から値引いて所得税を減らせるものです。
つまり、事業においてプラスの利益が発生ていて、なおかつ株式譲渡にて利益がマイナスとなっている場合は、事業の利益にかかる所得税を減らし節税対策にできます。
国民健康保険料金を支払いすぎる可能性がある
赤字あっても確定申告しないと、国民健康保険料金を支払いすぎる可能性がでてきます。
国民健康保険納金額は、前年度の収入から計算されますが、確定申告をしないと前前年度の収入で国民健康保険料が決定されることに。
そのため、本来払うべき保険料よりも多く納金することになります。
そうならないように、赤字でも必ず確定申告を済ませてください。
また、赤字の確定申告をしないまま既に今年度分の保険料を納めてしまった場合は、遅くてもいいので確定申告を済ませましょう。
申告すると支払いすぎた分は、次月からの保険料金からマイナスしてくれます。
先払いされた源泉徴収料金が還付される可能性も
クライアントとの契約状況等によって、報酬金額から源泉徴収されている場合は、その金額分が還付される可能性があります。
条件は、基礎控除や雑損控除、医療費控除…などで現状で受けられる控除金額を合計した金額より少ない年収金額であった場合です。
受けられる控除全額より収入が少なければ、同年度内に既に払った源泉徴収額がすべて還付されます。
還付を受けるためにも確定申告書類に記入する必要があるので、必ず確定申告を済ませましょう。
所得証明書類が手に入らない
確定申告は、どれだけの収入があるかを証明するものでもあります。
そのため、確定申告を済ませると所得証明書類として効力がないだけでなく、それら関連書類を発行できません。
また、所得証明書類が手に入らないと赤字でも収入があることを証明できず、クレジットカード発行・住宅購入および賃貸契約などで書類が提出できません。
該当書類を提出できないということは、その契約ができないことになります。
社会的信用がないため、審査におちるどころかそもそも受け入れてもらえません。
非課税証明書が手に入らない
確定申告をしないと、非課税証明書も手に入りません。
課税証明書は、収入の証明書と同じように社会的信用を得るために必要な書類です。
非課税証明書は、課税対象ではないことを証明する書類で、以下にて提示を求められることがあります。
- 賃貸契約で引っ越しを行なう場合
- マイホーム購入の審査を行なう場合
- 公的年金に関する手続きを行なう場合
- カードローンなどでお金を借りる場合
- お子様がいる場合、児童手当申請や保育園入園手続き
上記は一例で、所得があるかを確認する必要があるとみなされる場合は、課税証明書もしくは非課税証明書が必要です。
赤字で確定申告するには損失申告が必要
赤字で確定申告するときは、通常の確定申告とは異なり「損失申告」を行なわなければなりません。
損失申告とは、赤字となった金額を来年度の所得から値引くことで所得税を減らす申告です。
今年度赤字だった場合は通常の確定申告を行ない、来年度赤字ではなかった場合に確定申告で損失申告を行ないます。
また、同年度内に別の所得枠で赤字となったものと黒字になったものがある場合は、【黒字-赤字】の計算にて黒字分にかかる所得税を減らせます。
所得といっても、事業所得や譲渡所得・不動産所得・山林所得などがあるので、個々に赤字になっているのかを確認して確定申告を行ないましょう。
損失申告対象者 | 所得全額から控除金額をマイナスしても、控除できる金額に残額が残る場合 |
損失申告を行なう場所 | 通常の確定申告書類に記入の上、期間内に所轄の税務署もしくはe-Taxにて提出 |
しかし、損失申告できる所得とそうではない所得がある点に注意しましょう。
次からは損失申告できる所得とそうではない所得をご紹介します。
損失申告できるケース
損失申告ができるのは、以下の所得です。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
- 譲渡所得
上記所得をまとめて経常所得と呼ぶこともあります。
損失申告できないケース
以下の所得は、損失申告できません。
- 退職所得
- 一時所得
- 給与所得
- 雑所得
- 配当所得
- 利子所得
基本的に上記所得は損失申告に関連しませんが、の退職所得と一時所得は、赤字所得から所得額をマイナスできます。
赤字で損失申告するなら白色より青色がおすすめ!
損失申告は、白色より青色申告で済ませましょう。
なぜなら、青色で申告したほうが前年や翌年以降に繰り越せる所得の種類が増えるからです。
青色申告とは異なり、白色申告は書類作成にさほど手間取ることはありませんが、損失額の繰り越しをほぼできないので還付される金額も少ないといえます。
損失額を繰り越しできなければ、翌年が黒字だった場合に所得税を減らすことができないのです。
そのほか、青色申告と白色申告のメリット・デメリットを以下表にて解説します。
メリット | デメリット | |
白色申告 | 確定申告書類を作るのはさほど難しくない誰でも確定申告できる | 青色申告にある控除などが一切ない |
青色申告 | 青色申告でなおかつe-Taxで申告を行なうと最大65万円の控除が受けられる赤字の繰り越し(3年間)ができる家族経営の場合、家族従業員の給与が経費になる事業に関わる品物を10万円以内で購入した場合は経費計上できる(30万円以上だった場合は分割して経費計上できる) | 初めて青色申告を行なう前に必ず青色申告承認届を提出しなければならない白色申告に比べて記入する箇所が多いだけでなく帳簿を作成し、申告年から最大7年間は保管しなければいけない |
上記表を見てみると白色申告より青色申告だとメリットがかなり多いことがわかります。
とはいえ、そのメリットを受けるためには、白色申告より少し多くの項目を記入する必要がある点に注意したいところです。
複雑な青色申告が簡単にできる入力ソフトをご紹介!
確定申告はどこかで苦手意識を感じていませんか?
赤字でショックな半面、どこかで確定申告しなくて良いと安堵していた方もいらっしゃるでしょう。
損失申告は青色申告であれば、3年渡って損失額の繰り越しができるとのことでした。
そこで、ここでは複雑な青色申告が簡単にできる入力ソフトをご紹介します!
無料体験できるソフトもあるので、気になるソフトがあればまずは一度使ってみるください。
まとめ
今回は、赤字だからこそ確定申告をおすすめする理由をお伝えしました。
確定申告をしておくと、収入は少なくても「働いている」とアピールできるので社会的信用につながります。
また、翌年以降の確定申告で所得税を減らせるので、少し面倒くさくても必ず申告しておきましょう。
その際には、ぜひメリット抜群な青色申告を利用してくださいね!
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