ITエンジニアは鬱になりやすいと言われています。ITに関する知識や技術があれば働き続けられるのか、と言われればそれだけでは足りないのかもしれません。
他に、どういったものがあれば、鬱になりにくいのでしょうか。今回は、ITエンジニアが鬱になりやすい理由について解説します。
ITエンジニアは、メンタルを壊す人が多い
ITエンジニアは、「強いメンタルをもつことが必要」と言われることがあります。仕事量や人間関係、突発的な問題などが起きた時にメンタルを壊すことがあり、そのまま鬱になってしまいやすい職業であると言われます。具体的に、メンタルが壊れる理由について解説します。
メンタルが壊れる理由
- 仕事量が多い
- 突発的な問題が起きやすい
- パソコン作業は体に負担が大きい
- 仕事を失敗すると責任が重い
壊れる理由①:仕事量が多い
一番の原因が「仕事量の多さ」です。大量のコードをコーディングしなければならなかったり、設計書の量が膨大になってしまったり、様々な仕事をエンジニアはこなします。スケジュール通りに仕事が行えれば問題ありませんが、スケジュール遅れが生じやすい傾向があります。納期前、自宅に帰れず残業三昧であることもあるかもしれません。
例えば、営業担当のエンジニアは、担当しているクライアントからの問い合わせや自作業などがあり、多忙になります。資料作成しなくてはいけなかったり、電話対応に追われてしまうこともあるので、最終的に残業時間で資料作成という日々を過ごす人もいるようです。
仕事量が多いことで、なかなか身体や心を休めにくい状況が続き、ストレスフルになってメンタルを壊してしまいます。
壊れる理由②:突発的な問題が起きやすい
突然のシステムトラブル、クライアントからのクレームなどがあります。もし、システムダウンが発生した場合は、昼夜問わずに出社し対応しなくてはいけません。クライアントからのクレーム対応も内容によっては精神的にダメージがあることも考えられます。総じて、トラブルが続くとメンタルが削られ鬱になってしまうことでしょう。
壊れる理由③:パソコン作業は体に負担が大きい
ITエンジニアは、当然のことながら大半は、パソコンでの作業が仕事です。身体的疲労(目、身体の凝りなど)がとても大きいので、疲れが抜けにくい状態になってしまいます。適度な運動を心がけられれば、多少は解決できるかと思います。適度な散歩、軽いストレッチなど進んで入れるようにしましょう。身体的疲労がたまるとメンタルにも影響が出る場合があります。
壊れる理由④:仕事を失敗すると責任が重い
ITエンジニアの仕事は、失敗すると責任が重い職業です。例えば、プログラムにバグを混入させてしまったり、環境変更をミスしたりといった失敗が起こると莫大な損害を会社やクライアントに与える可能性があります。その被害額は、何百万円~何千万円という損害を負う可能性があり、責任重大であす。
中でも、お金を動かす金融システム、人の命に関わる医療系システムなどを止めてしまうなどの失敗は、損害がとても大きくなります。結果、その責任の重さがストレスとなり、メンタルを崩壊させてしまう結果に繋がります。
「鬱(うつ)」とは
鬱(うつ病)は、気分障害です。一日中気分が落ち込んでいたり、何をしても楽しめなかったりする「精神症状」と、眠れない・食欲がない・疲れやすいといった「身体症状」が現れた場合、うつ病が考えられます。
鬱になると、脳が「精神的ストレス」「身体的ストレス」などによって、うまく働かなくなってしまいます。物事の考え方や見方が「否定的」になり柔軟性を失ってしまいます。鬱かもしれないと思ったら、総合病院の精神科、もしくは、心療内科や精神科クリニックで受診・相談をしましょう。
主な症状
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安、イライラする、元気がでない、集中できない、好きなことに興味がなくなった、理由もなく自分を責めてしまう、毎回ネガティブに物事を考えこむ、死にたくなる、寝れない、食欲がでない、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、動悸、胃のムカムカ、便秘、口が乾く、落ち着かない、涙もろくなる、反応が遅くなる、飲酒量が増える など
ITエンジニアがうつ病になる理由
うつ病になる理由
- オーバーワークになりがち
- 日光を浴びることが少ない
- 人とのコミュニケーションが少ない
- 能力差を感じて
うつ病になる理由①:オーバーワークになりがち
クリアすべき課題とタイムリミットを抱えたプロジェクトでは、月に100時間程度の残業をすることが多くあります。トラブルが発生したり、新しい課題があったりすると、会社に泊まりこまなくてはいけません。また、仕事を持ち帰って自宅で行うこともあります。プロジェクトの中心を担う立場であれば、精神的負担がより大きくなり、メンバーの欠員が出た時にオーバーワークになってしまうことがあります。
うつ病になる理由②:日光を浴びることが少ない
デスクワークは、ほとんど日光を浴びる機会が少なくなります。仕事中は、定期的に散歩をしたり、意識的に日光を浴びたりする機会が減るので、身体にはあまりよくありません。朝に日光を浴びることで体内時計をリセットできる仕組みになっています。また、日光を浴びることで「セロトニン」という覚醒ホルモンが分泌されるので「やる気」に繋がります。そのため、日光を浴びることが大切になります。鬱になると、昼には元気がなく、夜は眠れないという状態になるので気を付けましょう。
うつ病になる理由③:人とのコミュニケーションが少ない
「人間関係」が原因で鬱になることがあります。真面目で繊細な性格をもつ人であれば、上司に叱られることやクライアントに詰められたりすることが苦手です。そこに加えて仕事の納期に追われてしまうと、メンタルが壊れやすくなってしまいます。また、プロジェクトがうまく進まないことで人間関係に歪みが生じ、ネガティブな思考が強くなるという負の連鎖が起こります。
コミュニケーションをうまくとれず、起きた出来事についての相談や、問題が起こる前に相談をしないことによって、より問題となった出来事が大きくなってしまいます。そのまま鬱になってしまうことがあるので、一人でも相談できる相手、話しができる相手を見つけましょう。
うつ病になる理由④:能力差を感じて
エンジニアは、「成果主義」を取り入れることが多くなったため、社内で競争が増えてきました。他人と比較しない人は、同僚や先輩との能力差を感じることは少ないかもしれません。ですが、真面目なエンジニアは自分自身と優秀な人とを比べてしまい、能力差を感じて「自分はダメだ」と否定的な考えに陥ります。
結果、ネガティブな思考に陥ったことで鬱を発症します。
メンタルを壊しやすいITエンジニアの特徴
メンタルを壊しやすい人には、同じような特徴があります。エンジニアの素質があったとしても、メンタルが弱い人であればエンジニアの職業を続けられない可能性が考えられます。ここでは、メンタルを壊しやすいエンジニアの特徴について紹介します。
メンタルを壊しやすいエンジニアの特徴
- さぼることを良しとしない四角四面な真面目さん
- まじめで責任感が強く思い詰めやすい
- 「できない」と言えない負けず嫌い
特徴①:さぼることを良しとしない四角四面な真面目さん
真面目な性格をもち、多少のさぼりを良しとできない人はメンタルを壊しやすい傾向があります。多少さぼっても問題はなさそうな物事であっても、さぼることを許せない人は、メナルを壊しやすいです。ITエンジニアは規模が大きく、正確に進めなければならず、締めて取り組まなきゃならない物事以外は、ざっくりおおざっぱにしないと終わらないかもしれません。
決まりをしっかりと守る人や文章のフォントを統一にしないといけない四角四面な真面目な方は自ら仕事を増やして追い込んでしまうタイプが多いです。
特徴②:まじめで責任感が強く思い詰めやすい
まじめで責任感が強い人や、思いつめやすい傾向のある人はメンタルを壊しやすいです。人に頼ったり、相談ができないと仕事を乗り切れないことがあります。責任感があり、真面目な人は、自分だけの力で完璧に仕事を終わらせたい傾向が強いかもしれません。ですが、それは難しいことです。「この日までに必ず終わらせなければならない」と思いつめることで、メンタルを自ら壊してしまいます。
要領が良い人は、納期についての「交渉」が行えます。例えば、「納期をこの日まで伸ばして頂けたら、納品できます」とか、「この日までに、この重要度が高いものは納品します」などの交渉・提案ができれば、問題ないのです。業務が滞りなく進むことが大事なので、柔軟に対応する術を学べるように余裕をもちましょう。
特徴③:「できない」と言えない負けず嫌い
負けず嫌いな人は、「できない」ということが言えないので、素直に「できない」と伝えられるようにしましょう。「できない」ことを無理にやろうとしても、結局ギリギリまでどうにもならないことが起きれば、周囲の人に迷惑がかかります。負けず嫌いを発揮するのではなく、素直に「できない」と伝えることも仕事です。できないことがわかれば対策が立てられるので、「できないことを認める」ようにしましょう。
メンタルを壊さないための方法
メンタルが壊れてしまうと鬱になってしまう可能性が一気に高まります。ここでは、メンタルを壊さないようにするための方法を紹介します。
壊さない方法
- すぐに相談する
- 同期や先輩・上司と仲良くする
- 自分の性格・傾向を把握する
- うつ病のサインを見逃さない
- 人に頼ることを躊躇しない
壊さない方法①:すぐに相談する
まずは、すぐにできないことや心配なことを相談するようにしましょう。我慢をしたり、思いつめたりすることで自分自身のメンタルが崩壊してしまいます。なかなか相談ができなかったり、「できない」を伝えられなかったりすることで、鬱になってしまいます。我慢をするのではなく、勇気を出して相談をしたり、できないと伝えたりしましょう。
壊さない方法②:同期や先輩・上司と仲良くする
コミュニケーションを日頃からとれていれば、上司や先輩社員、同期などに愚痴・悩みを打ち明けやすくなります。悩みを分かち合える同期や、相談をしたことでアドバイスをくれる先輩などがいるだけで心強く、仕事を続けやすくなります。っまた、配置換えや仕事量を減らしてくれるなどの配慮ができる上司が味方であれば百人力であることは間違いありません。
壊さない方法③:自分の性格・傾向を把握する
真面目で几帳面な人、責任感が強い人はなりやすい傾向があると言われています。また、人に頼まれると断れない性格の人もなりやすいです。メンタルの弱さによって、「周囲の評判が気になる」「注意を受けたり、何か言われたりすると傷つきやすい」などといったことが起きて、鬱になる可能性が上がることも考えられます。
性格を変えることは難しいです。しかし、自分の性格を自覚することで鬱を発症するリスクを避けるようにすることが重要であると言えます。
壊さない方法④:うつ病のサインを見逃さない
鬱のサインを見逃さないようにしましょう。サインが出ていても、無視して仕事を続けたり、乗り越えようとしたりすると症状が重くなってしまいます。典型的なサインを紹介します。
身体的なサイン
- 睡眠障害(眠れない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める)
- 食欲不振(食べても美味しく感じない、体重が減る)
- 疲労感(寝ても疲れがとれていない、朝から疲れてる)
- 肩凝り、頭が重い
- 下痢や便秘が続く
精神的なサイン
- 気分が落ち込みやすい
- 物事が悲観的に見える
- 自分を卑下しやすくなる、自信を失う
- 熱中していた趣味に興味がない
- 会社に行きたくない
サインが現れたら、無視・放置をせずに休んだり、医療機関を受診したりするなどの対策をとりましょう。
壊さない方法⑤:人に頼ることを躊躇しない
もしかして、自分が鬱になってしまうかもしれません。落ち込みやすくなった時や仕事が頑張れなくなった時など、家族や会社の上司などに相談することが大切です。同期などに相談して、仕事を分担したり、上司に仕事量の調整をしてもらうお願いをしたりすることで、心の負担も軽くなります。周囲が「様子がおかしい」と思っても、本人に触れられないことがあります。「放置できない状態」まで放置をすることが大変なので、何かあれば人を頼りましょう。
ITエンジニアがうつ病になってしまった時の対処法
鬱になると、自己卑下・自責の念などが生じる病気です。対処を誤ると治療が遅れ、重大な症状を引き起こしてしまう可能性があります。初期段階で、正しい対処をとることが大切です。
対処法
- 治療に専念してゆっくり休む
- 週2~3の仕事を経てゆっくり社会復帰する
- 社内復帰・転職をする
詳しく解説します。
対処法①:治療に専念してゆっくり休む
鬱は「元気の素」になる脳内物質が分泌されなくなる病気です。無理して頑張ろうとはせず、ゆっくり休むことが重要となります。休むため、上司や同僚などに相談をしましょう。もしくは、心療内科などを受診して「診断書」を書いてもらいましょう。それを持っていくことで相談しにくい人でも、上司に相談しやすくなります。
休む間は、仕事のことはなるべく考えないようにして、楽しいことを考えるような環境を整えることも大切です。ただひたすらに寝ること、好きなカフェでゆっくり過ごすこと、などストレスを発散させる行動を取りましょう。
対処法②:週2~3の仕事を経てゆっくり社会復帰する
症状が改善してきたら、フルタイムの仕事に戻るのではなく、休養をメインとした状態での社会復帰を目指しましょう。「燃料切れ」を起こして症状が再発することは避けなくてはいけません。家族や会社に迷惑をかけてしまっているという点で気を病むのではなく、自分のことを第一に考えて休みつつ、ゆっくりと社会復帰をしましょう。
対処法③:社内復帰・転職をする
元気になって仕事復帰ができたら、仕事量やペースを調整しましょう。そして、しっかりと取り組むようにしていけば完璧に復帰ができます。ただし、復帰後「居づらさ」を感じる可能性もあります。今度は、その居づらさや心苦しさなどを感じて、ストレスとなってしまう恐れがあるので、思い切って転職をし心機一転頑張ることも対処法です。また、フリーランスになって、人間関係を絶つ方法もあります。
Midworks
フリーランスで働きたい人におすすめの転職エージェントです。Midworks(ミッドワークス)は、案件数は少ない物のフリーランス向けエージェントで、福利厚生制度が充実しています。まずは相談、新規会員登録からしてみてはいかがでしょうか。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、「豊富な情報量」が一番の強みです。アドバイザーが行う企業訪問は、年3,000回以上です。現場にいるメンバーから細部までヒアリングを実施しているため、求人や企業に対する情報が深い傾向があります。フリーランス部門(レバテックフリーランス)もあるため、両方の方面からアプローチが行えます。
まとめ:心と身体が辛くなる前にヘルプを出しましょう
ITエンジニアが鬱になりやすい理由などお分かりいただけましたでしょうか。せっかくエンジニアになれても、メンタルが壊れてしまい「鬱」になったら勿体ないです。
鬱になりやすい特徴などを述べましたが、誰もが鬱になりやすい危険があるので、日頃から対策をとるようにしましょう。