リーダーシップを身につけるためには、実践あるのみと思う人もいるかもしれません。ですが、実際のところ、リーダーという存在がどういうものなのかを勉強しておかないとリーダシップを発揮しようと思っても難しいことがあります。今回は、リーダシップを学ぶ時におすすめの本を紹介します。
リーダーシップとは
リーダーシップは、組織を引っ張っていくリーダーとしての資質・能力を指します。数多くの研究者がリーダーシップについて研究し、リーダーシップについての定義を定め複数のスタイルを発見しています。。
PM理論
リーダシップ理論のひとつにあるのが「PM理論」です。これは、集団機能の観点からリーダーシップについて考察してみようという考えからスタートしています。チームを発展させる機能は何かを探っている中で辿り着いた理論です。
「目標達成機能(Performance function)」と「集団維持機能(Maintenance function)」で構成されていると考えられています。
- Performance function(P機能):目標を定め計画を縦て指示を出す。成績・生産性を向上させるためのスキルです。
- Maintenance function(M機能):チーム全体の人間関係に着目し、友好に保つとともに強化・維持するスキルです。
PM理論は国内のさまざまな企業をはじめ、欧米・アジア諸国などでも活用されています。
マネジメントとは違う?
「目標達成に向けて引っ張っていく能力」という点で、リーダーシップとマネジメントを混同するケースがありますが、マネジメントとリーダシップは異なります。
- リーダーシップ:チームとそれぞれのメンバーの将来像を実現させるために導く力
- マネジメント:目標・目的を達成するための手段を定め、管理すること
具体的に、マネジメントでは、目標実現のために細やかな戦術を立て、考え得る全てのリスクを予想し、回避するために対策を打ち、確実に結果を出すために人・もの・お金を調整することがマネージャーの役割となります。
リーダーとマネージャーは、目標として見る先が異なります。リーダーはチームやメンバーが将来どうなっているべきかという具合で、「未来」を意識し、メンバーにもそれを強く意識させます。マネージャーは、直近の事業計画・当期の予算や目標、現在発生している問題などの「現在」を見ています。
リーダーシップの目的3つ
リーダーシップの目的は以下の内容が考えられます。
目的
- 目標を達成するため
- 組織内の結束を高めるため
- 個人の成長を促すため
それぞれについて解説します。
リーダーシップの目的①:目標を達成するため
チームとして、タスク・目標を達成するには、リーダーが適切な指示を出してチームとして共通の目標に向かうように仕向ける必要があります。メンバーがある程度の能力を持っているチームなら、タスク・目標をメンバーに提示し、実現するためにしなくてはいけないことを部下に議論させ、決定するという手法もあります。
もし、メンバーの能力が足りない場合には、リーダーが全ての方針・行動を決め、仕事を割り振ることで、目標達成が叶う可能性があります。
リーダーシップの目的②:組織内の結束を高めるため
「団結の維持」の一点に絞るならば、リーダーは先頭に立たずメンバー間のコミュニケーションを円滑にするよう配慮しましょう。会議では論点がそれないように建設的な会議が進むよう、議論を見守ることが大切です。軌道を修正するために、それまでの議論をまとめて脇役に徹することも時として必要となります。
リーダーシップの目的③:個人の成長を促すため
団結の維持と同じように目標が個人の能力開発であれば、主役はあくまでメンバー個人です。リーダーは話し相手になります。メンバーの長所・短所・自分の将来の夢など、メンバー自身が気付くように促すことが大切です。気付きを生み出せるリーダーは素晴らしいリーダーであると言えるでしょう。
リーダーシップの種類
リーダシップには種類があります。今回は、次の内容について紹介します。
- クルト・レヴィンの提唱したリーダーシップ
- ダニエル・ゴールマンの提唱したリーダーシップ
それぞれについて解説します。
クルト・レヴィンの提唱したリーダーシップ
クルト・レヴィン博士は、ドイツ出身の心理学者です。クルト博士は、次のリーダーシップを提唱しました。
- 専制型リーダーシップ
- 民主型リーダーシップ
- 放任型リーダーシップ
それぞれについて解説します。
①専制型リーダーシップ
専制型リーダーシップは、意思決定や行動など全てリーダーが決めます。部下は主体性がなく、能動的であることが多くあります。どうするべきかを自分で考えず、リーダーの指示を持つようになります。
結果、短期的に見ればチームは目標を達成し、成果をあげられます。ですが、部下の成長は期待できません。つまり、チーム全体の成長が期待できないことになります。
②民主型リーダーシップ
民主型リーダーシップは、意思決定・行動などチームとしての方針をメンバーが考え決めていきます。その時に、リーダーがメンバーの考えに助言します。部下が自分で考え行動できるようになるため、チームの一人ひとりのメンバーが大きく成長します。
メンバー間のコミュニケーションも活発になり、団結力が強くなります。チームとしても成長し大きな成果を得られます。
③放任型リーダーシップ
チームとしての意思決定や行動にリーダーが一切関与せず、すべてメンバーの任せきになります。チームの今後についてをメンバーが考え、決断しようにも、どうすればいいか分からないため、議論が進みません。議論もできず、今後について何も決められないので、メンバー同士の士気・団結力は高まりません。目標達成に向けてチームを牽引する人もいないため、チームとしての目標も達成できないことが多くあります。
ダニエル・ゴールマンの提唱したリーダーシップ
ダニエル・ゴールマンは、アメリカの著述家です。ダニエルが提唱したリーダーシップは以下の通りです。
- ビジョン型リーダーシップ
- コーチ型リーダーシップ
- 関係重視型リーダーシップ
- 民主型リーダーシップ
- ペースセッター型リーダーシップ
- 強制型リーダーシップ
それぞれについて解説します。
①ビジョン型リーダーシップ
組織として将来どうありたいか「将来像」を掲げながらチームを動かすリーダシップです。常に前向きで、今より良い将来・幸せな将来を目標として訴えかけます。その将来に辿り着く方法については、メンバーに考えさせます。
常に前向きなリーダーの元で、メンバーがより幸せな将来を実現する方法を自由に議論し発見することで、行動目標として決めていきます。リーダーはメンバーから厚い信頼を得られるだけでなく団結力が高まります。
②コーチ型リーダーシップ
リーダーがメンバーを始動する場面がやや増えます。組織の目標達成はもとより、リーダーが一人ひとりのメンバーと真剣に向き合い、メンバー個人の個性について考えます。
メンバーも気付いていない自身の長所・短所・個性・特徴を気付けるように対話を手かいしながら、気付きを得た上で心から納得し、自分の長所を活かそうと努力します。
③関係重視型リーダーシップ
関係重視型リーダーシップは、組織の目標や将来像を追い求めるよりも一人ひとりのメンバーがどう考えているか、どう思っているのかを重視します。
メンバーそれぞれの考えに共鳴し、友好関係を良好に保てる期待があります。メンバーの考え方が会社などと異なると、目標を達成できなくなる可能性が高まります。メンバーの成長やチーム全体の成長が止まってしまうことも考えられます。
④民主型リーダーシップ
民主型リーダーシップは、メンバーの意見を求め組織全体を動かしていきます。メンバーの意見を広く集める結果、新しいアイデアが生まれる可能性があります。また、メンバー間のチームワークも高まることが期待できます。
結果よりも、過程を重視するスタイルなので、目の前の目標を確実に達成する場合には不向きです。
⑤ペースセッター型リーダーシップ
リーダー自身が率先して高いレベルの成果を出して部下を鼓舞し、士気を高める方法です。特に優秀なメンバーが揃っているチームでは非常に高い成果を期待できます。
その一方で、メンバーの能力が低く、やる気があまりない場合、ペースセッター型リーダーシップでは、うまく発揮できないことがあります。
⑥強制型リーダーシップ
チームとしての意思決定・行動をリーダーが全て定めるやり方です。軍隊のように上官が決めたことに対して部下は絶対服従となります。リーダーは決定・指示した行動の理由は伝えず、リーダーのいう通りに行動することがポイントとなります。
短期的な目標が明確であれば、大きな威力を発揮できます。リーダーの手足として動いているメンバーの成長は見込めません。「次のリーダー」を育てることもできません。
おすすめのリーダーシップを学ぶ本
リーダシップを学べる本を紹介します。
多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
才能や知識、スキルがあるからといって成功できるわけではない。多様な考え方を受け入れる認知的多様性(コグニティブ・ダイバーシティ)を手に入れ、偏狭なものの見方や盲点にとらわれずに、思考を解放すること。致命的な失敗を未然に発見し、生産性を高める組織改革の全てがここにある。
だから僕たちは、組織を変えていける
「心理的安全性の創出」「仕事の意味の共有」「内発的な動機づけ」といった具体的手段を、世界基準の理論に基づいて紹介していきます。管理職やリーダーはもちろんのこと、現場の一社員であっても、チームをリードして「組織を変えていく」ための知見と技術をお伝えします。
リーダーの仮面――「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法
「モチベーションを上げても成果は出ない」「ルールなき自由な職場が成長を止める」など、成長にフォーカスをあてたマネジメントノウハウ。上司と部下に緊張感のある「ちょうどいい距離感」が最も最高の結果を出す!
チームが自然に生まれ変わる 「らしさ」を極めるリーダーシップ
【あなたの職場はなぜ、たるんでいるのか?】「やる気・根性・ノルマ」で人はもう動かない。本音の見えないリモート時代「やれる気しかしない」最高のチームをつくるには?「組織開発のプロ」と「AI企業の経営者」が語る、 人の認知メカニズムに最適化された「新時代のリーダー」のための思考法。
「よそ者リーダー」の教科書
ある日突然、社長や事業部長を命じられた。転職や異動などで新天地でチームを率いる際に、カリスマではない「普通のリーダー」は、いかにしてリーダーシップを発揮すればいいのか?親会社が変わった、ファンドや親会社から経営陣がやってきた、トップが突然変わった、さてどう対応すべきか?アウェーの現場ですべきこと
問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術
仲間と力を合わせ、チームで成果を出すためには、周囲に投げかける「問いかけ」の質を変えることが重要です。著者の長年の研究と実績をもとにノウハウ化された、チームの眠っているポテンシャルを最大限に発揮させるための「問いかけ」の実践的指南書です。
「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC
家族とのささいな揉め事でも、集団同士の深刻な対立でも、自分と相手の「奥にある大切にしているもの」に寄り添うことで、新たな選択肢をつくりだす。世界各地の個人・組織・社会で広がる新しいアプローチ「NVC」対立に満ちた社会で分断された人々の心をつないできた著者が、その実践のエッセンスを豊富な事例とともに描き出す。
まとめ:リーダーシップ論を学んでよい組織をつくろう!
リーダーシップに必要なスキルとして「目標達成のために明確なビジョンを提示すること」であることがお分かり頂けましたでしょうか。信頼という結びつきにより、チーム全体が活性化し、モチベーションを保ちながら目標達成ができます。
本などでリーダーシップを勉強し、自身とチーム・企業の成長へ繋げましょう。