交渉術を身につけたり、スキルアップしたりするにはどうしたらよいのでしょうか。また、交渉術を学ぶ時にどのような本を読んだらいいのか悩むことと思います。
今回は、交渉力を高める本や心理学を学べる本などを紹介します。仕事の成果に繋げましょう。
交渉とは
「交渉」は、『お互いが納得できる落としどころを考慮した上で話し合う』という形の会話です。勝ち負けで物事を捉えるのではなく、お互い納得できる落としどころをしっかりと考慮した上で話し合うので、会話の中で最終的なゴールを見つける点が交渉となります。
似た言葉に「折衝」というものがあります。こちらは、交渉が難航するタイミングに妥協点を見つけ探る作業となります。お互いに折り合いをつけるための話し合いのため「納得する答え」を見つける交渉と異なるため注意が必要です。
交渉が上手な人の特徴
交渉が上手な人は、次のような特徴が見られます。
特徴
- 適度に楽観的で、細かい事に動じない
- 観察力に優れている
- 交渉相手の話をよく聞く
- 「No」をはっきりと言う勇気がある
- 相手のメリットになることを始めにする
それぞれについて解説します。
特徴①:適度に楽観的で、細かい事に動じない
交渉力がある人は、ちょっとしたことにも動じない精神力をもっています。そのため、相手は安心感を得やすく話しを聞く体制を作りやすい傾向があります。普段から、ネガティブでいつもおどおどしている人であれば、「この人で大丈夫かな」とつい不安に感じることでしょう。
また、楽観主義者が多く、器の大きい人が多くいるので、交渉する中で相手は安心できるので「この人なら大丈夫」と話しを聞くようになります。交渉が上手く進みやすい傾向があります。
特徴②:観察力に優れている
交渉力のある人は、相手がどう思っているのか気持ちを読むことに長けてる能力があります。交渉をうまく進行させるには、タイミングが大事となります。相手がその気になっていないタイミングに強く推し進めてしまうと、交渉が失敗する可能性があります。
そのため、相手の仕草・話す時の表情などを観察しながら見極めて戦法を変えて成功させることが多くあります。
特徴③:交渉相手の話をよく聞く
交渉相手の話しをじっくり聞こうとするので、会話が自然と発展して相手が心を開きやすい傾向があります。一方的に話しをしていても、相手は前向きな気持ちにならない可能性があります。相手の話を聞きながら、交渉を有利に進めることがポイントです。
特徴④:「No」をはっきりと言う勇気がある
交渉力のある人は、相手のいいなりになることもあまりありません。交渉していて、自分にメリットがない場合「No」をはっきりと言うことも多いかと思います。そうした強気の姿勢に持ち合わせているので、相手優位の交渉になることも低く、納得感のある交渉になりやすい傾向があります。
特徴⑤:相手のメリットになることを始めにする
交渉力のある人は、自分の利益を優先にしません。相手と上手に交渉するために、相手にもメリットを提示する必要があります。先に、相手のメリットを示すことで、「自分も何かメリットを提示しなきゃ」という気持ちになりやすい傾向が見られます。さらに相手を優先させる姿勢に気持ちよさも感じるため、交渉がスムーズにいきやすくなります。
交渉力を上げる心理学
交渉をしている時に役立つ心理学は次のものがあります。
交渉力をあげる心理学
- ミラーリング
- ダブルバインド
- バンドワゴン効果
- キャリブレーション
- アンカリング
- ドア・イン・ザ・フェイス
- フット・イン・ザ・ドア
- セルフ・ハンディキャッピング
- ハード・トゥ・ゲット
- ラベリング効果
それぞれについて解説します。
心理学①:ミラーリング
相手の仕草の真似をする手法です。相手の動きに合わせることで、「無意識的に似ている存在」と思わせられます。結果、親近感を抱かせることが可能となります。
主に、
- 声のトーン
- 口調
それらを合わせることで、「この人なら大丈夫だろう」と信頼してもらえるため、交渉がスムーズに進みやすくなります。
心理学②:ダブルバインド
2つの選択肢を出して、断る選択を消す手法を意味した心理学です。決められた選択肢にのみ目がいくことが多い傾向があります。選択肢をあえて絞っておくことで、交渉が難航しにくくなります。また、最終的に、お互いが納得のしやすい交渉に繋がります。
心理学③:バンドワゴン効果
人気のあるもの、支持されている商品に対して興味をもったり惹かれたりする心理のことを言います。「他の皆さんも持っています」「多くの人に指示されています」などといった点であれば、相手も興味を示しやすくなります。「たくさんの人に注目されているなら…」という点で、交渉が上手になるかもしれません。
心理学④:キャリブレーション
相手を観察し、心理を読み取ることです。コミュニケーションを取る時に、言葉以外の部分でもメッセージ(意思)を発信しています。表情やジェスチャー、声のトーンなどを観察するようにしましょう。
相手の考えを読み取ることで、押すタイミングと引くタイミングがわかるので、交渉がうまく進みやすくなります。
心理学⑤:アンカリング
印象的な情報が基準となり、後の行動に影響を与える効果です。マーケティングの世界でも有名な言葉で価格交渉時には特に有利に進めやすくなります。元の価格を提示した上で、根値下げした価格を提示すると商品の購入に繋がる傾向があります。
心理学⑥:ドア・イン・ザ・フェイス
大きな要求を突きつけ、相手を断らせたうえで負担の小さい要求を出す手法です。商品を提案する時に、高めの値段を告げた結果断られることがあるかと思います。何度か断られる中で、だんだんと値段を下げましょう。
結果、「せっかくだから」と相手の罪悪感を抱かせ、交渉を受け入れてくれる可能性が上がります。
心理学⑦:フット・イン・ザ・ドア
最初に小さい要求を出し、受け入れてもらった上で次に少しずつ要求を積み重ねていく手法のことです。例えば交渉する時、なかなか相手が時間を咲いてくれない時は、小さなお願いをしましょう。
結果、次第に相手が受け入れてくれるため信頼関係が生まれることがあります。信頼されるようになるため、スムーズに交渉が進みやすくなります。
心理学⑧:セルフ・ハンディキャッピング
自分の不利な点をもって相手に訴えることで、失敗した時の言い訳を用意しておく手法です。「期待しないでください」と伝えることで、実際にうまくいかなかった時の予防せんになり、相手もがっかりしにくくなるため、関係性が崩れにくくなります。
心理学⑨:ハード・トゥ・ゲット
相手を特別扱いして信頼を得る手法です。「これはあなただけの特別なんです」という特別感を出すことで、特別扱いに嬉しさを覚え自然と相手に好意・信頼を寄せやすくなります。希少性を相手に感じさせ、交渉を前向きに検討しやすくしましょう。
心理学⑩:ラベリング効果
レッテルを貼り付けて、誘導させる手法です。相手を褒めた先で、褒めたポイントに対して意識をし行動を取るという流れを産みます。例えば、相手に対しての容姿を褒めた場合に、容姿に関して良く見せるための努力を行うようになります。
結果、「期待に応えたい」と相手が思う点から、交渉がスムーズに進みやすくなります。
おすすめビジネス交渉・心理学 本を紹介
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まとめ:ビジネス交渉・心理学を学んでビジネスに活かそう
交渉は、ビジネスの上で重要となります。コツや交渉する時に使える心理学など、自分だけでなく相手を納得させるために必要なスキルは簡単に身につけられるものではありません。
ただし、勉強しスキルを身につけておくことで実りある交渉になることは間違いないので、ぜひ勉強しておきましょう。